モニターツアー実施コース
~第1話 SNSから予約ページへ、つながらない夜~
さぬきビートのバズを一過性で終わらせないために、SNS運用の仕組みづくりに取り組んだ。まるやまマートの前川さくらの助言を受け、週2回のコンテンツカレンダー(投稿の計画表)を設計し、コメント返信ルール(24時間以内・感謝+1質問)を策定。分析指標をリーチ・エンゲージメント・プロフィールクリックの3つに絞り、宮本がSNSのプロフィール欄に旅行会社のサイトへのリンクを設置した。北村代表理事も分析画面の数字を自分の言葉で読み始め、デジタルへの理解が一歩進んだ。
クリックはあるのに予約がない
【シーン】晩秋の夜、せとうちマーレブル事務所で神谷と宮本がノートPCの画面を見つめている場面。画面にはSNSの分析データ(抽象的なグラフ)が表示されている。窓の外は暗く、上着を着た二人の表情は真剣。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_desk.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷(27歳男性、ネイビーのスーツの上に薄手のジャケット、ノートPCの画面を見つめている。眉をひそめた真剣な表情)、宮本(24歳女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、暖色系ダークチェスナットブラウンのミディアムヘアを青緑色のシュシュで低めのポニーテール、マスタードイエローのリングノートを開いてメモを取りながら画面を見ている)。 【構図】宮本のデスク付近で2人がノートPCの画面に向かっている。やや斜め前方から、2人の表情とノートPCの画面が見える角度。晩秋の夜の事務所の静けさを強調。 【小物】宮本の白ノートPC(画面に抽象的なグラフとリスト)、宮本のマスタードイエローのリングノート、黒いスマートフォン、紙コップ。 【ロケーション整合】kagawa_13:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ薄いグレーのメラミン天板デスク2台、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、窓の外は暗い夜景)+窓横のコルクボード、右壁のグレーのスチールラック4段。 【色調】夜の室内。昼白色LEDシーリングライトが主光源。窓の外は暗く、二人のデスク周りだけが明るい。温白色と昼白色の混合光。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
動画制作コースでSNS運用の仕組みが整い、旅行会社と連携したモニターツアー(お客さんに実際に体験してもらうお試しツアー)のページも公開された。コンテンツカレンダー(投稿の計画表)に沿った定期投稿も始まっている。しかし、公開から数日が過ぎても申し込みが伸びない。
晩秋の夜。せとうちマーレブルの事務所は静かだった。窓の外はとっくに暗く、神谷と宮本は上着を羽織ったまま宮本のノートPCの画面を見つめていた。画面にはSNSの分析データが並んでいる。プロフィールのリンクをクリックしてくれる人は一定数いる。数字は動いている。それなのに、ツアーの予約に結びついていない。


神谷がリンク先を開いてみた。SNSのプロフィールに設定されていたURLは、旅行会社のトップページだった。トップページには多くのツアーが並んでいる。そこから「香川」を見つけ、「屋島×うどん家族旅」の詳細ページにたどり着くまでに何回もタップが必要だった。
神谷が画面上で、SNSのプロフィールから予約完了までの操作を数えた。プロフィールのリンクをタップ→旅行会社トップページで検索バーをタップ→「香川」と入力→検索結果から「屋島×うどん」をタップ→ツアー詳細ページで申し込みボタンをタップ。5回の操作がいる。
スマートフォンの小さな画面で5回も操作を重ねるのは、想像以上に大きなハードルだ。1回操作するたびに読み込みを待ち、画面が変わり、次にどこを押せばいいか探す。特に子どもを寝かしつけた後の疲れた時間帯に、その手間をかけてくれる人は少ない。


宮本がすぐにスマートフォンを取り出し、プロフィールのURLを修正した。旅行会社のトップページではなく、「屋島×うどん家族旅」のツアー詳細ページへの直リンクに差し替える。1分で終わる作業だった。

CTAと投稿タイミング
【種類】概念図(フローチャート)。人物は描かない。 【構図】上段に「SNS投稿」から「プロフィールリンク」への矢印。中段を「改善前」「改善後」で左右に分割。改善前(左)は「旅行会社トップページ」→「ツアー一覧」→「ツアー詳細」の3段階、各段階の間に赤い×印で離脱ポイントを示す。改善後(右)は「ツアー詳細ページ」への直リンク1本、緑の矢印とチェックマーク。下段に「CTA=“プロフィールのリンクからツアー詳細へ”を投稿文に明示」のキャプション。 【補助】タイトル「SNS → 予約ページの導線改善」。キャプション「リンク先を変えるだけで離脱が減る」。 【色調】白背景に、改善前は赤系(×印・破線)、改善後は緑系(チェック・実線)のコントラスト。中間色はグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
宮本がリンク先をツアー詳細ページに修正した。しかし、それだけで十分なのか。二人は西園寺にオンラインで相談した。
画面越しに状況を聞いた西園寺が、2つの助言を返してきた。



CTA——コール・トゥ・アクション。次にしてほしい行動を、はっきり言葉にして伝える。リンクがあるだけでは押してもらえない。「ここを押してね」と書いて初めて、見てくれた人の指が動く。



投稿を読んだ人は、次に何をすればいいか分からなければ、そのまま画面を閉じてしまう。逆に、一行の誘導文があるだけで「ああ、ここを押せばいいのか」と行動に移せる。CTAの本質は、見た人を迷わせないことだった。動画をどれだけ丁寧に作っても、投稿の文章をどれだけ工夫しても、「次の一歩」を示さなければ見た人の行動は止まったままになる。



投稿の時間はすでに決まっていた。コンテンツカレンダーを設計したときに、ペルソナの生活リズムから逆算して置いた枠だ。足りなかったのは、その枠に何を流すかだった。届ける時間を合わせても、届いた先で何をすればいいか示さなければ、行動は止まったままになる。
深夜便がコピーになる
【シーン】宮本がホワイトボードに投稿コピーとタイムラインを書き出している場面。「金曜夜:投稿」「深夜:フェリー出航」「土曜朝:高松着」の流れが抽象的に描かれている。横で神谷がスマートフォンを見ている。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_board.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。 【人物】宮本(24歳女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、暖色系ダークチェスナットブラウンのミディアムヘアを青緑色のシュシュで低めのポニーテール、ホワイトボードに向かって赤いマーカーで書き込んでいる。前のめりで興奮気味の表情)、神谷(27歳男性、ネイビーのシングル2つボタンスーツ、白シャツ、無地のネイビーネクタイ、ジャケットのボタンを留め、両手をポケットに入れず、右手でスマートフォンを持って画面を見ながら頷いている)。 【構図】ホワイトボード正面からやや斜めの角度。ホワイトボードの書き込み(抽象的な矢印とタイムライン)がメインで、その前に立つ宮本と、少し後ろに立つ神谷が見える。 【小物】ホワイトボードの赤・青・黒のマーカー、イレーサー、神谷のスマートフォン。 【ロケーション整合】kagawa_13:右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、右壁のグレーのスチールラック4段、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、窓の外は暗い夜景)+窓横のコルクボード、奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ薄いグレーのメラミン天板デスク2台。 【色調】夜の室内。昼白色LEDシーリングライト+ホワイトボードに反射する光。温かみのある室内光。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
西園寺との通話を終えたあと、宮本がふいに顔を上げて目を輝かせた。



宮本の目がさらに輝いた。椅子から立ち上がると、ホワイトボードに駆け寄り赤いマーカーを手に取った。

宮本がホワイトボードに「金曜夜:投稿→深夜:フェリー出航→土曜朝:高松着」とタイムラインを描いた。投稿を見た直後にフェリーの予約ができる。投稿のタイミングと交通手段の出発時刻、そしてコピーが一本の線でつながる。
二人は投稿コピーの候補をいくつか書き出してみた。「週末は香川でうどん旅」「家族で行くフェリー弾丸旅」。どれも悪くはないが、どこか一般的で誰にでも当てはまりそうな言葉だった。誰に向けた言葉なのかが見えない。どの旅行先にも当てはまる文章では、林田家の指は止まらない。


投稿コピーが決まった。「金曜の夜、子どもを寝かせたままフェリーに乗れば、朝にはうどん県」。ペルソナの課題——子連れの移動は大変——と、解決策——深夜便なら寝ている間に到着——が、一文に凝縮されている。読んだ瞬間に「あ、うちのことだ」と感じてもらえるかどうか。それが投稿コピーの勝負どころだった。
その週の金曜夜、新しいコピーで投稿した。コピーの下にはCTAを添えた。「プロフィールのリンクからツアー詳細へ」。週明け、予約が動き始めた。
撮影同意を仕組みに入れる
【種類】概念図(比較図)。人物は描かない。 【構図】左右に二分割。左側「事後の対応」:「当日」→「映り込み発覚」→「慌てて対応」の3ステップ、全体に赤い×印。右側「事前の仕組み」:「申込フォーム」→「撮影同意チェック」→「当日は全員同意済み」の3ステップ、全体に緑のチェックマーク。中央に「VS」の区切り。 【補助】タイトル「撮影同意の取り方」。キャプション「事後の対応ではなく、仕組みで事前に解決する」。 【色調】白背景。左は赤系(×印・破線・警告色)、右は緑系(チェックマーク・実線・安全色)。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
予約が動き始めたことで、ツアー当日に向けた準備が現実味を帯びてきた。もう一つ、やらなければならないことがあった。



以前、動画を制作していたとき、撮影後に映り込みが発覚して慌てて素材を差し替えたことがあった。あのとき差し替えで済んだのは、公開前に気づけたからだ。しかし今回のモニターツアーでは、参加者の表情や体験の様子をリアルタイムで撮影し、SNSに投稿する計画だ。ツアー当日は現場で即座に判断しなければならない。事後の対応では間に合わない。


神谷が旅行会社の担当者に電話をかけた。チェック項目の文言は「ツアー中に撮影した写真・動画を、せとうちマーレブルのSNSアカウントと広報物(小冊子・Webサイト)に、ツアー実施日から2年間掲載することに同意します。掲載後でも事務所へご連絡いただければ速やかに削除します。同行のお子さまについては、保護者として同意します」。使用する媒体・使用期間・削除の条件と、同意の主体をひとつの文に収めた。フォームの修正は技術的には簡単で、チェックボックスを一つ追加するだけだ。担当者も「それなら明日には反映できます」と快く応じてくれた。

作っただけでは届かない
リンク先の修正、CTAの追加、金曜夜の投稿枠に載せるコピーの刷新、撮影同意の前倒し設計。一晩で、やるべきことの全体像が見えた。
ホワイトボードには、今夜話し合ったことがすべて書き出されている。導線の修正、CTAの追加、金曜夜の投稿枠、コピー案、撮影同意の依頼。どれも特別な技術がいるわけではない。けれど、これらを「やるべきこと」として整理できたのは、ペルソナという軸があったからだ。


窓の外はまだ暗い。けれど事務所の空気は、さっきまでの沈んだ重さが消えていた。ホワイトボードに並んだ項目は、一つひとつは小さな改善にすぎない。しかし、それらがペルソナという一本の軸でつながったとき、届けるための仕組みの全体像が浮かび上がった。宮本が「金曜の投稿から始めます」と静かに言った。
📌 覚えるポイント
- SNSのプロフィールリンクが旅行会社のトップページ止まりだと、ツアー詳細に辿り着く前に離脱される。リンク先をツアー詳細ページへの直リンクに変えるだけで、申し込みへの距離が縮まる
- 「プロフィールのリンクからツアー詳細へ」と投稿に一行書き足すだけで、見た人の行動が変わる。次に何をすればいいかを明示する誘導文——CTAを置かないと、興味は動きにならない
- 投稿枠はすでにペルソナの生活動線から逆算して金曜の夜に決めてあった。効くかどうかは、その枠に何を流すかで決まる。投稿直後の反応が集まりやすい時間だからこそ、その1本にCTAを入れる価値がある
- 交通手段の利便性は投稿コピーの武器になる。「金曜の夜、子どもを寝かせたままフェリーに乗れば、朝にはうどん県」は、ペルソナの課題と解決策を一文に凝縮している
- 撮影同意は当日その場ではなく、申込時に確認する。フォームにチェック項目を入れれば、誰が同意していて誰が同意していないかが申し込みの時点で分かり、当日の混乱を防げる
- 制作が終わった後にも、届けるための仕組みづくりが要る。導線の整備、タイミングの調整、コピーの作成は、コンテンツを届けるための仕組みであり、制作物そのものと同じくらい重要になる
📖 覚える用語
- CTA(コール・トゥ・アクション)
- ユーザーに次の行動を促す誘導文や誘導ボタン。「プロフィールのリンクからツアー詳細へ」のように、押してほしい場所を明示することで行動が変わる。
- SNS導線の改善
- リンクの差し替え自体は1本書き換えるだけでしたが、申し込みまでの操作は5回から2回(リンクをタップして詳細ページを開き、申し込みボタンを押すだけ)に減りました。投稿文には押してほしい場所を一行で添えています。今後は投稿を公開する前に、リンクの飛び先を実際にたどって確かめる手順を運用に入れます
- 投稿枠に載せるコピーの刷新
- 投稿枠は動画制作で決めた金曜21時のまま維持し、その枠に流すコピーをフェリーの深夜便に合わせた一文へ差し替えました。今回は文章の巧さではなく、読む人が実際に動ける時間と手段に合っているかを基準に選んでいます。効果は投稿ごとのクリック数と予約数を並べて確かめ、反応が弱ければコピーを差し替えて比べます
- 撮影同意の事前取得
- 申込フォームへのチェック項目の追加は旅行会社に依頼済みで、明日には反映される予定です。反映後、私が実際の申し込み画面で文言と表示を確認します。当日はチェックが入っていない組があった場合に備え、その組が写り込まない立ち位置で撮る段取りも決めておきます
