モニターツアー実施コース
~第2話 ジャンボフェリー、夜の出航~
SNSの投稿を見てくれた人が予約ページにたどり着けていない問題に取り組んだ。プロフィールのリンク先を旅行会社のトップページからツアー詳細への直リンクに変更し、投稿にCTA(「ここを押してね」という誘導文)「プロフィールのリンクからツアー詳細へ」を明示。動画制作コースでペルソナ(たった一人の理想のお客様像)の生活動線から逆算して決めていた金曜の夜という投稿枠はそのままに、その枠に流す投稿コピー(宣伝の言葉)を「金曜の夜、子どもを寝かせたままフェリーに乗れば、朝にはうどん県」に刷新した。さらに、撮影同意のチェック項目を申込フォームに事前追加し、当日の混乱を仕組みで防ぐ体制を整えた。週明け、予約が動き始めた。
神戸港の夜──12組との合流
【シーン】晩秋の深夜、神戸港フェリーターミナル2階ロビー。神谷と宮本が受付テーブルの前に立ち、参加者名簿を確認している。北村が到着した家族の一組に笑顔で声をかけている。子どもたちが大きな窓の前に駆け寄り、窓越しに見える白いフェリーを指さしてはしゃいでいる。ロビーの明かりが夜の港に温かく灯っている。 【ロケーション固定】kagawa_18 に厳密準拠。第一参照=angle_lobby.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。kagawa/characters/北村裕設定画像.png。 【人物】神谷(27歳男性、受付テーブル前、ネイビーのスーツにジャケット)、宮本(24歳女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、青緑色のシュシュで低めのポニーテール、名簿を持ちながら確認)、北村(62歳男性、家族に笑顔で声をかけている)。参加者の家族は後ろ姿またはシルエットで描写(肖像権配慮)。子どもたちは窓に駆け寄る後ろ姿。 【構図】2階ロビーをやや俯瞰気味に。手前に受付テーブルの神谷と宮本、中景に北村と家族、奥に大きな窓とその向こうのフェリー船体。天井の高いロビーの広さと、夜のターミナルの静かな高揚感。 【小物】受付テーブル、参加者名簿、窓越しに見える白いフェリー船体、ロビーの暖色照明。 【ロケーション整合】kagawa_18:(1)約45m×約27mの3階建ての箱、白基調+赤の外装、(2)西側ファサードの3層通しガラスカーテンウォールが深夜に発光面になる、(3)2階から出る閉じた銀色の金属チューブ(ボーディングブリッジ)、(4)建物と船の間のアスファルト車両エプロン、(5)西岸壁の匿名の白い大型フェリーと着地した車両ランプ。 【色調】深夜の暗い港を背景に、ロビー内の暖色照明が温かく灯る。窓越しの白い船体がエプロンの照明で浮かぶ。瀬戸内ブルーのアクセント。 【避ける】実在ロゴ、可読サイン、特定商標。神戸大橋の赤いアーチ、ポートタワー等の実在ランドマーク固有形状。2014年以前の旧ターミナル形状(波板外壁・切妻屋根・オレンジ波形)。参加者の顔の描写。
導線の改善、CTAの追加、投稿コピー(宣伝の言葉)の刷新。一晩で整えた届けるための仕組みが動き始め、12組の家族がモニターツアー(お客さんに実際に体験してもらうお試しツアー)に申し込んでくれた。いよいよ当日を迎える。
初冬の金曜夜。神戸港のフェリーターミナルに、12組の家族が集まってくる。連絡バスが到着するたびに、上着やジャケットを着込んだ親子連れがロビーに入ってくる。2階の待合ロビーは深夜にもかかわらず明るく灯っていた。大きな窓の向こうには、車両エプロンを挟んで白いフェリーが接岸している。
神谷と宮本が受付テーブルの前に立ち、参加者名簿と照らし合わせながら一組ずつ確認していく。その横で、北村が到着した家族に声をかけている。

北村が一組ずつ丁寧に声をかける姿を見ながら、神谷は思った。この人は、画面の中の数字には戸惑うことが多いけれど、人を迎える力は誰よりも強い。12組の家族が安心してロビーに入ってこられるのは、北村のこの温かさがあるからだ。
受付を済ませた家族がロビーのベンチに座り、窓の向こうの船を眺めたり、子どもと一緒に窓に張り付いたりしている。深夜なのに、ロビーには不思議な高揚感が漂っていた。家族旅行が、いつもとは違う場所から始まることの特別さ。日常の延長ではなく、非日常への入口に立っている感覚だ。
子どもたちが待合ロビーの大きな窓に駆け寄った。窓越しに、暗い車両エプロンの向こうで白い船体が照明に浮かび上がっている。
「船に乗るの?」「あの船? あんなに大きいの?」子どもたちの声がロビーに響く。親たちもスマートフォンを取り出し、窓越しにフェリーの写真を撮り始めた。まだツアーのプログラムは何も始まっていない。それなのに、参加者たちはすでに楽しんでいる。



運営する側にとって、フェリーは目的地への移動手段だった。出発地と到着地をつなぐ「必要な時間」にすぎない。しかし参加者にとっては違った。大きな船に乗ること自体がイベントだった。ロビーの窓越しに白い船体を見上げる子どもたちの歓声が、それを証明していた。提供する側と利用する側で、同じ時間をまったく違う意味で受け取っている。この視点のずれに、神谷たちはまだ名前をつけられずにいた。
明石海峡大橋の下をくぐる
【シーン】深夜のフェリーデッキから見た明石海峡大橋のライトアップ。白い光の列が夜空に弧を描き、その反射が黒い海面にゆらめいている。デッキの手すり沿いに家族連れのシルエットが並び、橋を見上げている。初冬の夜の空気感。 【ロケーション固定】kagawa_11a に厳密準拠。第一参照=angle_night.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】特定キャラクターの顔の描写なし。参加者はシルエットまたは後ろ姿のみ。 【人物】デッキの手すりに沿って立つ家族連れのシルエット(大人と子ども)。人物の顔は描かない(シルエットまたは後ろ姿で肖像権配慮)。 【構図】デッキから橋方向を見上げるアングル。手前にミディアムブラウンのウッドデッキとステンレスパイプの手すり、中景にシルエットの家族連れ、背景に明石海峡大橋のライトアップと暗い夜空。海面に橋の光が映り込む。 【小物】ステンレスパイプの手すり(丸パイプ2段)、ウッドデッキ。 【ロケーション整合】kagawa_11a:(1)ミディアムブラウンの天然木ウッドデッキ+中央の人工芝区画、(2)ステンレスパイプの手すり(丸パイプ2段)+白い鋼板の船体外壁、(3)白い円筒形ファンネル(上部に青い帯)+白い階段室ハウス、(4)白いキャンバス座面のウッドフレームデッキチェア、(5)瀬戸内海の穏やかな海面+広い空+水平線。 【色調】深夜の暗い海と空を背景に、明石海峡大橋のライトアップの白い光が主光源。デッキは暗く、手すりのステンレスが光を微かに反射。海面に橋の光が揺れる。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。ジャンボフェリーのロゴ・船名「あおい」の完全再現。
フェリーが神戸港を出航した。深夜の瀬戸内海を船が静かに滑り出す。デッキに出ると、冷たい海風が頬を打った。コートの襟を立てても、風は容赦なく入り込んでくる。初冬の夜の海は暗く、遠くに街の灯りがぼんやりと見えるだけだ。エンジンの低い振動が足元から伝わり、船が確かに動いていることを教えてくれる。
しばらくすると、デッキに出た家族連れの間からどよめきが上がった。前方に、明石海峡大橋が見えてきた。ライトアップの時間はとうに過ぎている。それでも橋げたに連なる道路灯が一本の光の線になって夜空に弧を描き、主塔の頂で赤い航空障害灯がゆっくりと点滅していた。その光が、黒い海面にゆらめいている。
子どもたちが手すりにつかまって橋を見上げている。ウッドデッキの上に、12組の家族が思い思いに広がっていた。手すりにつかまる子ども、デッキチェアに座ったまま空を見上げる親、スマートフォンのカメラを夜空に向ける人。暗い海の上で、橋の道路灯だけが夜空に線を引いている。その静かな美しさに、大人たちも言葉を失っていた。

北村の声に、子どもたちが歓声を上げた。橋が頭上に迫る。道路灯の帯が真上を通過していく。親たちがスマートフォンを掲げ、何度もシャッターを切っていた。初冬のデッキは海風が冷たい。それでも、誰も船室に戻ろうとしなかった。
橋を通り過ぎたあとも、デッキに人が残っていた。子どもを肩車した父親が、遠ざかる橋の光を指さして何か話しかけている。海風に吹かれながら夜の瀬戸内海を見つめる家族の横顔が、あちこちにあった。「寒くないの?」と声をかける母親に、子どもが「もうちょっと!」と答える。船は暗い海をゆっくりと進んでいた。
深夜に明石海峡大橋の下をくぐる時間は、ツアーのプログラムとして設計したものではない。フェリーの航路上にたまたまある橋を、夜に通過するだけだ。それが、参加者にとってはツアーで最初に歓声が上がった瞬間になった。移動時間が、そのまま体験のピークになっている。


朝のぴっぴ
【シーン】翌朝の船内うどん売店。売店のおばちゃんがカウンター越しに湯気の立つうどんの丼を子どもたちに差し出している場面。窓の外には朝焼けの瀬戸内海。子どもたちの後ろ姿がカウンター前に並んでいる。売店のおばちゃんの気さくな笑顔が温かい。 【ロケーション固定】kagawa_11b に厳密準拠。第一参照=master.png、第二参照=angle_kitchen.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/売店のおばちゃん設定画像.png。子どもたちは後ろ姿のみ。 【人物】売店のおばちゃん(60代前半女性、カウンター内で気さくな笑顔、湯気の立つ丼を差し出す)。子どもたち(カウンター前、後ろ姿またはぼかしで描写。肖像権配慮)。 【構図】カウンターを挟んで、手前に子どもたちの後ろ姿、奥に売店のおばちゃんが丼を差し出す。左手に大きな矩形窓と朝焼けの海面。湯気が画面全体に温かみを与える。 【小物】湯気の立つうどんの丼、ステンレス天板+木目メラミン前面のカウンター、メニュー看板(白地に抽象的な線と丸のみ)、右端の黒いタッチパネル券売機。 【ロケーション整合】kagawa_11b:(1)奥壁の厨房カウンター(ステンレス天板+木目メラミン前面)+茹で釜の白い湯気+ステンレスのレンジフード、(2)手前のハイカウンター(木目天板)+ステンレス脚スツール6脚+木製箸立て+調味料ラック、(3)左舷壁の大きな矩形窓(窓越しに海面)+明るい木部+緑系座席、(4)カウンター上の横長メニュー看板(白地に抽象的な線と丸のみ)+右端の黒いタッチパネル券売機、(5)白い天井の丸型ダウンライト+一部露出の白塗装配管。 【色調】朝焼けのオレンジが大きな矩形窓から差し込み、カウンターのステンレスに淡く映る。湯気の白と木目の温かみ。全体に柔らかい暖色。 【避ける】人物の顔(子どもたち)、実在ロゴ、可読テキスト。「ふねピッピ」の店名表記。写真風の質感。
翌朝。といっても、まだ日の出まで一時間以上ある。高松東港への到着を前に、船内のうどん売店が開いた。カウンターの向こうで、売店のおばちゃんが湯気の立つ丼を準備している。窓の外の瀬戸内海はまだ夜の色で、遠くに高松の街明かりが点々とにじんでいた。売店の灯りが、カウンターのステンレスに淡く映っている。
駆け寄ってきた子どもたちに、売店のおばちゃんが声をかけた。「朝のぴっぴは格別やけんね。よう食べよ」
子どもが首をかしげる。「ぴっぴ?」
「うどんのことよ」おばちゃんが笑った。
「朝からうどん!?」子どもが目を輝かせた。隣にいた別の子どもも「朝からうどん食べていいの!?」と声を上げる。売店のカウンター前に、小さな行列ができ始めた。
おばちゃんが丼を差し出しながら、子どもたちに声をかけた。「出汁もぜんぶ飲みよ。ぴっぴは出汁が命やけんね」子どもが真剣な顔で頷いて、丼を両手で持ち上げた。
丼を受け取った子どもが、うどんを一口すすって叫んだ。「おいしい!」その声を聞いて、まだ並んでいた家族が笑い出した。船の上で食べるうどんは、陸で食べるのとは何かが違う。揺れる船体、窓の外の海、湯気の向こうに広がる夜明け前の暗い海。すべてが味の一部になっている。
親たちもカウンターに並び始めた。おばちゃんが一人ひとりに声をかけながら丼を渡していく。「はい、出汁熱いけん、気をつけてな」手際よく丼を準備しながらも、おばちゃんの声は穏やかだった。船内灯の光が湯気を白く縁取っている。矩形窓の外の瀬戸内海はまだ暗いが、近づいてくる港の灯りが昨夜の沖合とは違う顔を見せていた。
神谷は少し離れたところから、そのやり取りを見ていた。「ぴっぴ」という言葉を、この同じ売店で初めて聞いたのは自分だった。あのとき、意味がわからず戸惑った。今は、子どもたちの反応を見ながら自然に微笑んでいる。同じ言葉を聞いているのに、受け取り方がまるで変わっている。
「香川では普通なんですよ」
【種類】概念図(比較対照型)。人物は描かない。 【構図】左右2列構成。左列「提供者(運営側)の視点」に3項目を縦に配置:移動=コスト(必要な移動時間)、待ち時間=ムダ、朝食=補給。右列「利用者(参加者)の視点」に対応する3項目:移動=冒険(夜の船・橋のライトアップ)、待ち時間=ワクワク(何が起きるかわからない楽しさ)、朝食=驚き(朝からうどん!?)。中央に双方向矢印と「体験価値化 = 利用者の目で見直す」のキーワード。左列と右列の対比が視覚的に明快になるレイアウト。 【補助】タイトル「提供者目線と利用者目線のギャップ」。キャプション「同じ時間を、まったく違う価値で受け取っている」。 【色調】左列(提供者)はグレー系の落ち着いた色調で「ただの時間」を表現。右列(利用者)は暖色系の明るい色調で「体験としての輝き」を表現。中央のキーワードはアクセントカラー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
宮本が少し誇らしげに、うどんを食べている参加者に話しかけた。

参加者の親が驚いた表情で聞き返す。「朝からうどん屋に並ぶのが普通なんですか?」

宮本の表情には、地元への誇りが滲んでいた。香川で生まれ育った自分が「普通」だと思っていたことを、外から来た人が驚いてくれる。それが、宮本にとっても新しい発見だった。自分の「当たり前」の中に、まだ気づいていない価値が埋まっているかもしれない。大学の観光学部で学んだ教科書の中の概念が、目の前の家族の笑顔で初めて腑に落ちた瞬間だった。
北村も自然に加わった。「うちら子どもの頃は『朝はぴっぴ』が当たり前だったんですよ。寒い朝に温かいのをすすると、今日も頑張ろうって気持ちになるんです」地元の話になると、北村の言葉に熱がこもる。
「へえ、『ぴっぴ』っていうんですか。うちの子もさっき売店で聞いて大喜びでした」参加者の親が笑った。子どもが隣で「ぴっぴ! ぴっぴ!」と繰り返している。
地元の人にとっての「当たり前」が、外から来た人にとっては驚きのコンテンツ(人に届ける中身)になっている。朝からうどんを食べる文化は、どのガイドブックにも書いてある情報だ。しかし、船の上で湯気の立つ丼を前にして、地元で育った人から直接聞く話は、文字で読む情報とはまったく重みが違う。
夜のフェリー乗船、深夜に明石海峡大橋の下をくぐる瞬間、朝のうどん。どれもツアーの「本番」として設計したものではない。移動の途中で起きたことだ。しかし参加者にとっては、それが最も印象に残る体験になっている。
体験を通じてお客さんが感じ取る価値を「体験価値(たいけんかち)」と呼ぶ。観光では、移動や待ち時間も含めたプロセス(始まりから終わりまでの流れ)全体が、その価値を生んでいる。提供する側が「ただの移動」「ただの食事」と思っている時間を、利用する側は「体験」として受け取っている。このギャップに気づけるかどうかが、ツアーの設計を変える。
好きになった街に、人が来てくれる
【種類】概念図(上下対比型)。人物は描かない。 【構図】上段に「計画したコンテンツ」を青色のブロック3つで横並びに配置:さぬきビート体験、屋島散策、ツアー動画。下段に「当日発見されたコンテンツ」を緑色のブロック3つで横並びに配置:明石海峡大橋のライトアップ、朝うどんの驚き、子どもの歓声。上段と下段を結ぶ矢印の先に「計画 + 偶然 = 体験の豊かさ」のキーワード。 【補助】タイトル「予想外のコンテンツの発見」。キャプション「計画に入れていなかったものが、最も印象的な体験になることがある」。 【色調】上段は青系(計画・論理・意図的な設計)、下段は緑系(自然発生・偶然の発見・有機的)。矢印とキーワードはアクセントカラー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
子どもたちが「おいしい!」と声を上げながらうどんをすすっている。窓の外にはまだ暗い瀬戸内海と、近づいてくる港の灯りが見えている。高松東港への到着が近づいていた。


宮本が小さく頷いた。窓の外で、夜明け前の空と海の境界がぼんやりとにじんでいる。
神谷はうどんをすする子どもたちの笑顔を見ていた。この12組の家族は、自分たちが作った動画やSNSの投稿を見て、このフェリーに乗ることを決めた人たちだ。画面の中で作っていたものが、現実の人を動かした。
香川のことをほとんど何も知らなかった自分が、今は12組の家族をこの船に迎えている。制作した小冊子を読み、動画を見た人たちが、自分の意思でここに来てくれた。画面の中で「金曜の夜、子どもを寝かせたままフェリーに乗れば、朝にはうどん県」と書いたあの一行が、目の前の家族をこの船に乗せた。デジタルの世界で作ったものが、現実の人の決断を動かしている。その手触りは、想像していたものとはまったく違った。
船が高松東港に向かって速度を落としている。窓の外に、港の輪郭が少しずつ見え始めた。ツアーの本番はここから始まる。
📌 覚えるポイント
- 移動時間は「コスト」ではなく「体験」として設計できる。フェリーに乗ること自体が、子どもたちにとってはイベントになる。移動手段を体験の一部として位置づけることで、ツアー全体の満足度が上がる
- 提供者目線と利用者目線にはギャップがある。運営側が「ただの移動」と思っている時間を、参加者は「体験」として受け取っている。自分の当たり前を疑い、利用者の目で見直す姿勢が大切になる
- 地元の「当たり前」は、外から来た人にとってのコンテンツになる。ガイドブックの情報と、現場で地元の人から直接聞く話では、情報の重みがまったく違う
- 予想外の体験は、計画から外れたところに生まれる。明石海峡大橋の真下をくぐる瞬間や朝うどんの驚きは、プログラムとして設計したものではない。計画と偶然の両方を受け入れる余白が体験を豊かにする
- 「移動」「待ち時間」と呼んでいる時間にも、お客さんは価値を感じ取っている。予算をかけずに満足度を上げられる余地は、たいていその時間の中にある
- 「作ったものが人を動かした」という実感が、次の行動の原動力になる。自分たちの制作物を見てフェリーに乗ることを決めてくれた人がいる。その手応えが、制作者としての責任感と喜びを育てる
📖 覚える用語
- 体験価値(たいけんかち)
- 移動や待ち時間を含む「プロセス全体」が生む価値。提供者目線と利用者目線でギャップがあり、利用者の目で見直すことで新たなコンテンツが見つかる。
- フェリー移動時間の体験価値
- フェリーの移動時間が参加者にとっての体験になっていました。乗船時の子どもたちの興奮、深夜に明石海峡大橋の下をくぐる体験、朝うどんの驚きの3つが特に反応が大きかったです
- 計画外の体験コンテンツの発見
- 「朝からうどん」という地元の当たり前が、参加者にとっては最も新鮮な驚きでした。計画していなかったコンテンツが最も印象に残る場面になっています
- 移動設計の見直し
- 「移動=コスト」という前提を見直す必要があります。今後のツアーでは、移動時間も体験として設計に組み込む視点を取り入れたいと考えています
