AI×デザイン実践コース
~第3話 写真は誰のものか~
北村のリファレンス(お手本)をAIに渡して小冊子の叩き台を生成した。「なんか違う」という曖昧な感覚を「色が冷たい→瀬戸内の温かみがほしい」に変換するフィードバック(具体的な修正のお願い)の技術を学び、うまくいったプロンプト(AIへの指示文)をテンプレート(ひな型)として保存。0→1はAIが速く作り、1→10は人間が現場の目で仕上げるワークフロー(作業の流れ)が確立された。
いい写真が見つかった──でも使えるのか
【シーン】夏の午前、せとうちマーレブルの事務所。宮本がノートPCの画面で1枚の写真を神谷に見せている。画面には瀬戸内海をバックにした風景が映っている(旅行者の顔は画面上でもぼかして描く)。宮本のフィールドノートがテーブルに開かれている。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_meeting.png、第二参照=angle_desk.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビーのスーツに白シャツ、ネイビーのネクタイを着用、黒い短髪、スタッキングチェアに座り写真を見ている)。宮本彩(24歳・女性、ティール~海色のライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、暖色系ダークチェスナットブラウンのミディアムヘアを青緑色のシュシュでポニーテール、ノートPCの画面を神谷に向けて写真を提示している)。 【構図】手前に会議テーブル、テーブル上のノートPC画面に瀬戸内海の風景写真(旅行者の横顔はぼかし)。宮本が画面を神谷に向け、神谷が写真を見ている。奥に横一列で並ぶデスク2台と窓。 【小物】ノートPC画面上の風景写真。宮本のマスタードイエローのリングノート(テーブルに開かれている)。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】窓からの夏の自然光が白・グレー基調の事務所を明るく照らす。ノートPC画面の風景写真の暖色がアクセント。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
前回の叩き台づくりで方向性が決まり、次は各ページに載せる写真を選ぶ工程に入った。夏の午前、窓から差し込む自然光がせとうちマーレブルの事務所を明るく照らしている。コルクボードに留められた活動の予定表や写真が、日差しを受けてわずかに影を落としていた。神谷と宮本が会議テーブルを挟んで座り、取材で集めた写真フォルダをノートPCの画面に開いた。
宮本がマスタードイエローのフィールドノートを広げ、撮影場所と日時、被写体の特徴を1枚ごとに照らし合わせながら候補を挙げていく。屋島の風景、午後の光を受けた瀬戸内海、商店街の路地裏、港に停泊する船。どれも取材で丁寧に撮りためた写真だった。数十枚を順に確認していくなかで、宮本の手がふと止まった。

宮本が差し出したのは、屋島の獅子の霊巌で撮影した1枚だった。背景に瀬戸内海のパノラマが広がり、手前に感動している旅行者の横顔が写り込んでいる。午後の斜めの光が横顔を照らし、構図も光も申し分ない。小冊子の表紙にも使えそうな力のある写真だ。しかし、その旅行者は通りすがりの観光客だった。撮影許可を取っていないどころか、会話すら交わしていない。もしこの写真を小冊子に載せれば、知らない人の顔が印刷物として世の中に広まることになる。



撮った人の権利と、写っている人の権利
【シーン】夏の午前、せとうちマーレブルの事務所。西園寺がオンライン画面越しに説明している。手前の会議テーブルに神谷と宮本が座り、ノートPCの画面に西園寺の姿が映っている。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_meeting.png、第二参照=angle_window.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png、kagawa/characters/西園寺設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビーのスーツに白シャツ、ネイビーのネクタイを着用、黒い短髪、スタッキングチェアに座りノートPCの画面を見ている)。宮本彩(24歳・女性、ティール~海色のライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、暖色系ダークチェスナットブラウンのミディアムヘアを青緑色のシュシュでポニーテール、マスタードイエローのリングノートを手に持ち画面を見ている)。ノートPC画面越しに西園寺遥(30歳・女性、ベージュのジャケット、あごラインストレートボブ、細フレーム眼鏡、穏やかに説明する表情)。 【構図】会議テーブルに神谷と宮本が座り、ノートPCが正面に開かれて画面に西園寺。背景に横一列で並ぶデスク2台、ホワイトボード、窓からの光。 【小物】ノートPC画面上の西園寺の姿。宮本のマスタードイエローのリングノート。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】窓からの夏の自然光。ノートPC画面の西園寺の姿が「オンライン越しの学び」を象徴。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
神谷が東京の西園寺をオンラインでつないだ。先ほどの獅子の霊巌の写真を画面越しに共有し、撮影許可を取っていない旅行者が写り込んでいることを説明する。西園寺が穏やかに頷き、要点を整理し始めた。


【種類】概念図(整理図)。人物は描かない。 【構図】左側に「撮った人 → 著作権」のボックス、右側に「写っている人 → 肖像権」のボックス。中央にカメラのアイコン。下部に「この2つは別の権利。両方の確認が必要」のラベル。 【補助】全体タイトル「著作権と肖像権の違い」。 【色調】背景は白。左側のボックスはティール系。右側のボックスはウォームオレンジ系。中央のアイコンはダークグレー。ラベル文字はダークグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
撮った人の権利と、写っている人の権利。2つの異なる権利が、1枚の写真に同時に重なっている。宮本の写真は自分が撮ったものだから著作権の問題はない。しかし、写っている旅行者の同意は得ていない。肖像権の観点では、この写真を商用の印刷物に使うことはできなかった。写真の良し悪しとは別の次元で、使えるかどうかが決まる。



著作権は「作った人」の権利。肖像権は「写っている人」の権利。どちらか一方だけクリアしても足りない。両方を確認して初めて、その写真は「使える写真」になる。目に見えない権利だからこそ、使う前の確認を習慣にしておくことが大切だった。神谷がノートPCに確認項目をメモし始めた。「著作権——撮った人の許可があるか」「肖像権——写っている人の許可があるか」たった2行の確認だが、この手順があるかないかで、あとから起きるトラブルの大きさが変わる。
「フリー素材」は「自由に使える」ではない
【シーン】夏の午前、せとうちマーレブルの事務所。神谷がノートPCでフリー素材サイトの利用規約を画面に表示している。宮本が画面を覗き込み、驚いた表情をしている。画面上のテキストは抽象化し読めない形にする。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_desk.png、第二参照=angle_meeting.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビーのスーツに白シャツ、ノートPCに向かい利用規約を確認している)。宮本彩(24歳・女性、ティール~海色のライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、暖色系ダークチェスナットブラウンのミディアムヘアを青緑色のシュシュでポニーテール、画面を覗き込んで驚いた表情)。 【構図】宮本のデスクまたは会議テーブル上のノートPC。画面に利用規約の抽象的なテキスト。神谷が操作側、宮本が横から覗き込む。奥に窓からの自然光。 【小物】ノートPC画面上の抽象的な利用規約テキスト。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】窓からの夏の自然光。ノートPC画面の利用規約テキストが「細かい条件の違い」を暗示。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感、実在のフリー素材サイト名。


宮本の提案はもっともに思えた。フリー素材なら人物が写っていないものも多く、肖像権の問題を回避できる。しかし「フリー」という言葉には落とし穴があった。神谷がノートPCでいくつかのフリー素材サイトを開き、利用規約のページを確認していった。
1つ目のサイトは「個人利用のみ」と書かれていた。2つ目は「クレジット表記必須」。3つ目は「加工禁止」。4つ目は「商用利用不可」。同じ「フリー」を掲げていても、使用条件はサイトごとにまったく異なっていた。無料だから何にでも使えるという思い込みが、いかに危ういかがはっきり見えた。



西園寺がフリー素材の商用利用条件について、確認すべき3つのポイントを挙げた。1つ目、商用利用が可能かどうか。2つ目、クレジット表記(作者名の記載)が必要かどうか。3つ目、加工が許可されているかどうか。この3点は最低限の確認事項であり、確認を怠って使えば、公開後に使用停止を求められるリスクがある。確認の手間を惜しんだ結果、制作物全体を作り直す事態にもなりかねない。


AIが描いた屋島は、誰のものか
写真とフリー素材の権利を確認したところで、もう1つの問題が浮上した。前回、AIで生成した屋島のイメージ画像だ。叩き台にはきれいなイメージ画像が載っているが、その画像の権利はどうなるのか。写真には撮った人の著作権がある。フリー素材にはサイトごとの利用規約がある。では、AIが生成した画像には何があるのか。


写真は撮った人に著作権がある。文章は書いた人に著作権がある。では、AIが生成した画像の著作権は誰のものなのか。AIが生成した画像も、判断の枠組みは写真や文章と同じだ。著作物として保護されるかどうかは「人がどれだけ創作的に関与したか」で決まる。ひと言の指示を投げただけの出力は著作物と認められにくく、その場合は誰の著作権も発生しない。一方、生成AIサービスの提供会社に著作権が移るわけではない。会社との関係は著作権の帰属ではなく、利用規約で「商用に使ってよいか」が決まる別の話だ。この問題は、現行の著作権法をどう当てはめるかという解釈の問題として整理されつつある新しい領域だった。



答えが明確に出ない問題だからこそ、「わからないまま使う」のではなく「わからないなら確認する」という姿勢が求められる。AI生成画像は便利なツールだが、便利だからといって権利の確認を省略していい理由にはならない。写真にも、フリー素材にも、AI画像にも、それぞれ確認すべきルールがある——この原則を押さえておくことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩だった。
「使わない」を選ぶ勇気
【種類】概念図(フローチャート)。人物は描かない。 【構図】上から下へのフローチャート形式。(1)「撮った人の著作権はクリアか」のボックス → (2)「写っている人の肖像権はクリアか」のボックス → (3)「利用規約の条件を満たしているか」のボックス → 最下部に「判断に迷ったら『使わない』を選ぶ」の強調ボックス。各ボックス間を下向き矢印で接続。 【補助】全体タイトル「写真・素材の権利チェックフロー」。 【色調】背景は白。フローの各ボックスは淡いティール系。矢印はダークグレー。最下部の強調ボックスはウォームオレンジ系。ラベル文字はダークグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
著作権、肖像権、フリー素材の利用規約、AI生成画像の権利。今日出てきた確認事項は多い。西園寺が、これらをまとめたチェックフローとして整理した。写真や素材を使うときの判断基準を、制作の初期段階でルール化しておく。迷いが生じたときに立ち戻れる基準があれば、チームの判断がぶれない。


「使わない」を選ぶことは、消極的な判断ではない。権利の確認が不十分なまま素材を使い続ければ、公開後にトラブルが起きるリスクがある。小冊子を回収し、刷り直し、関係者に謝罪する——そうした事態を未然に防ぐのが、最初のルール化だ。一枚ごとに迷う必要がなくなり、チーム全員が同じ基準で判断できる体制を整えることが、制作を守ることにつながる。


窓の外では夏の陽がわずかに傾き始めていた。テーブルの上にはノートPCの確認メモ、宮本のフィールドノート、そして使用を見送った獅子の霊巌の写真データ。今日は1枚も写真を決められなかったように見えるが、「なぜ使えないのか」「どうすれば使えるのか」の基準を手に入れたことが、一番の収穫だった。判断基準ができたことで、次からの選定作業は格段に速くなるはずだ。

📌 覚えるポイント
- 他人の創作物を使うには、原則として許可がいる。写真を撮った人、文章を書いた人、音楽を作った人——作った人に権利がある、という前提から始める
- 人が写っている写真は、撮影も公表も本人の許可がいる。子どもが写っているなら、保護者の同意を取ってから使う
- 自分で撮った写真でも、それだけでは使えない。「撮った人」の権利と「写っている人」の権利は別々に存在するので、両方を確認する
- 「フリー素材」と書いてあっても、何をしてもよいという意味ではない。使う前に利用規約を開き、個人利用のみか、クレジット表記は要るか、加工してよいかを一つずつ確かめる
- AI生成画像にも現行の著作権法が適用され、著作物になるかは「人の創作的な関与」の度合いで決まる。加えて既存の作品に似ていれば侵害の問題が生じうるし、商用に使えるかは生成AIサービスの利用規約で変わる。この3点が確認できないときは「使わない」を選ぶ
📖 覚える用語
- 著作権(ちょさくけん)
- 創作物を作った人に与えられる権利。写真・文章・音楽・動画等に発生する
- 肖像権(しょうぞうけん)
- 自分の顔や姿をみだりに撮影・公表されない権利。特に子どもは慎重な配慮が必要
- フリー素材の商用利用条件
- 「フリー=無料」であって「自由」ではない。利用規約(個人利用のみ・クレジット表記必須・加工禁止等)の確認が必須
- 写真の著作権・肖像権の確認
- 取材写真に写り込んだ通りすがりの観光客の肖像権を確認。撮影許可のない人物写真は商用利用不可と判断し、代替の写真を選定する方針を決定。
- フリー素材の利用規約チェック体制の構築
- フリー素材の「商用利用可否・クレジット表記の要否・加工可否」の3点チェックを制作フローに組み込み。サイトごとの条件差を確認済み。
- AI生成画像の権利確認ルールの策定
- AI生成画像にも現行の著作権法が適用され、著作物になるかは人の創作的関与の度合いで決まるため、使用する際は生成AIサービスの利用規約を個別に確認するルールを策定。判断に迷う場合は「使わない」を選ぶ基準を設定。
