AI×動画制作コース
~第1話 動画は"時間のデザイン"~
印刷が完了した500部の小冊子について、ペルソナの行動動線に基づいて配置場所の優先順位を決めた。高松東港のフェリーターミナル、さぬき体験工房、ホテルのロビーに順に設置し、場所ごとに異なるQRコードを割り当てて読み取り数で配置効果を測定する仕組みを設計した。設置先からの反応も少しずつ届き始めている。
次は「目に飛び込むメディア」
【シーン】せとうちマーレブル事務所の簡易ミーティングスペース。会議テーブルを囲んで神谷と宮本がスタッキングチェアに座り、テーブル上のノートPCの画面越しに西園寺がオンラインで話している。テーブルの端には完成した小冊子が数冊置かれている。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_meeting.png、第二参照=angle_window.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png、kagawa/characters/西園寺設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビー系スーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、黒い短髪、スタッキングチェアに座りノートPCの画面を見ている)。宮本彩(24歳・女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、ダークチェスナットブラウンのポニーテール、青緑色のシュシュ、スタッキングチェアに座りメモを取りながら画面を見ている)。ノートPC画面内に西園寺遥(30歳・女性、ベージュのジャケット、あごラインストレートボブ、細フレーム眼鏡、穏やかな表情)。 【構図】会議テーブルの正面から、手前に神谷と宮本の上半身、テーブル上のノートPC画面に西園寺が映る構図。テーブルの端に完成した小冊子が数冊積まれている。 【小物】オーク調の中古会議テーブル、チャコールグレーの事務用スタッキングチェア、ノートPC(白)、完成した小冊子(暖色系の表紙、読める実テキストは描かない)、宮本のマスタードイエローのリングノート、ペットボトルの水。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】窓からの夏の朝の自然光が白・グレー基調の事務所を明るく照らす。小冊子の暖色系表紙とノートPCの画面の光がアクセント。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
夏の終わりが近づく8月下旬。小冊子の設置先から、少しずつ反応が届き始めていた。高松東港のフェリーターミナルに置いた分は、週末に数冊ずつ減っている。さぬき体験工房の藤原さんからは「パンフレット置きに入れたら、体験に来たお客さんが持って帰ってくれとる」と連絡があった。ホテルのロビーに置いた分も、フロントスタッフから「お子さん連れのお客様が手に取っていかれます」と報告が来ていた。
そのタイミングで、西園寺からオンライン会議の招集が入った。せとうちマーレブルの事務所で、神谷と宮本がノートPCの前に座る。





スライドショーではダメな理由
【種類】概念図(対比図)。人物は描かない。 【構図】横二分割のレイアウト。左側に「空間のメディア」として小冊子のイメージ(見開きページ全体が一覧できる図、矢印が自由な方向に散らばり「好きな順番で読める」を示す)。右側に「時間のメディア」として動画のイメージ(横向きの時間軸の矢印、3秒・15秒・30秒・60秒の目盛り、「見せる順番を設計する」と示す)。中央に「VS」の区切り線。 【補助】左上に「小冊子=空間のメディア」、右上に「動画=時間のメディア」のラベル。 【色調】左は暖色系(小冊子のイメージ)、右は寒色系(動画・デジタルのイメージ)。全体は清潔で図解的なフラットデザイン。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
動画と聞いて、神谷はふと思いついたことを口にした。


西園寺が画面の向こうでホワイトボードに図を描き始めた。左側に四角い枠を描いて「小冊子」と書き、右側に横向きの矢印を描いて「動画」と書く。神谷と宮本がノートPCの画面に身を乗り出して見入る。





3つの構成型を選ぶ
【種類】概念図(比較図)。人物は描かない。 【構図】横3列のレイアウト。左列に「起承転結型」(4段の下向き矢印、「ストーリーを描く」のラベル)。中列に「問題提起型」(「?」マークから始まり答えに到達する構成、「知ってましたか?で始める」のラベル)。右列に「体験共有型」(カメラアイコンから体験シーンへ流れる構成、「やってみた・行ってみた」のラベル)。「体験共有型」の列にチェックマークが付いている。 【補助】上部に「動画の構成3型」のタイトル。体験共有型の下に「うどん踏み体験=これ!」の吹き出し。 【色調】3列はそれぞれ異なるアクセントカラーで区別。全体は清潔で図解的なフラットデザイン。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
西園寺がホワイトボードの図を描き替える。今度は3つの列が並んだ。



神谷は3つの型をノートに書き写した。映画のような起承転結型、テレビの情報番組のような問題提起型、SNSの「行ってみた」動画のような体験共有型。身近な例と結びつくと、すんなり頭に入る。西園寺が神谷に問いかけた。



宮本がうなずきながら補足した。普段からSNSで観光系の動画をよく見ている宮本には、西園寺の説明が実感を伴って響いたようだ。


構成型を選ぶだけで終わりではない。西園寺が続ける。



1本に全部入れようとしない
オンライン会議の途中、事務所のドアが開いて北村が入ってきた。

会議テーブルの空いたスタッキングチェアに座り、ノートPCの画面を覗き込む北村に、西園寺が画面越しに動画制作の話だと説明すると、北村の目が光った。




北村が腕を組んで考え込む。事務所の壁のコルクボードには、小冊子の設置先一覧やQRコード読み取りの集計メモがピンで留めてある。北村は、あの小冊子に込めた思いをすべて動画にも載せたいのだ。





動画制作の全体像
【種類】概念図(フロー図)。人物は描かない。 【構図】横一列のフロー図。左から右に7つのステップが矢印でつながる。「台本」→「撮影」→「編集」→「テロップ」→「BGM」→「字幕」→「公開」。最初の「台本」ステップがハイライト色で囲まれ、「ここから始める」と吹き出しが付いている。 【補助】上部に「動画制作の7ステップ」のタイトル。 【色調】ステップごとに淡いグラデーションで色分け。「台本」のステップだけアクセントカラーで強調。全体は清潔で図解的なフラットデザイン。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
北村は自分のデスクに戻っていった。北村が席を外したあと、西園寺が動画制作の全体像を整理した。





オンライン会議を終えて、神谷は事務所の窓の前に立った。午後の光が高松の街並みを照らしている。引き違い窓の向こうに中層ビルの屋根が並び、その先に瀬戸内海の水平線がかすかに見える。テーブルの上には完成した小冊子が数冊並び、その横でノートPCの画面にはまだ会議のウィンドウが残っている。
小冊子を作る間に、自分の中に香川の記憶が溜まっていた。潮の匂い。さぬき体験工房で見た、工房の主の無口な背中。工房で音楽がかかった瞬間に、体験に来ていた子どもが踊り出したこと。あの光景は60秒の動画では全部は伝えきれない。
でも、全部を詰め込む必要はない。あの子どもが踊り出した瞬間だけは、伝えたい。60秒でいい。たった60秒に、あの瞬間を閉じ込めたい。
スマートフォンで見た60秒の動画に心を動かされて、「ここに行ってみたい」と思う人がいるかもしれない。小冊子は「手に取ってもらう」メディアだった。動画は「目に飛び込んでくる」メディアだ。同じ素材を、時間軸でデザインして届ける。
📌 覚えるポイント
- 小冊子は「空間のメディア」。1枚で全体が見え、読者が好きな順番で読める。動画は「時間のメディア」。最初の3秒で見るか見ないかが決まる
- 動画は「見せる順番」をデザインする。何を最初に置き、何秒で切り替え、どこで終わるか。この時間設計が視聴者の行動を左右する
- 動画の構成には3つの型がある。起承転結型(ストーリーを描く)、問題提起型(「知ってましたか?」で引く)、体験共有型(「やってみた」で見せる)。題材とターゲットに合った型を選ぶ
- 1本の動画に全部入れようとしない。歴史も体験も景色も詰め込むとどれも伝わらない。1本1メッセージに絞り、複数本に分ける
- ペルソナは動画でも出発点になる。観光マーケティングで設計したペルソナの視聴シーン(いつ・どこで・どんな気分で見るか)から、構成型・冒頭カット・動画の長さを逆算する
- 動画制作は「台本→撮影→編集→テロップ→BGM→字幕→公開」の7ステップ。まず台本で「何を、何秒で、どう見せるか」を設計してから撮影に入る
📖 覚える用語
- 時間設計
- 動画は「見せる順番」をデザインするメディア。何を最初に見せるか、何秒で切り替えるか、どこで終わるかを設計すること。静止画(空間のメディア)とは異なり、時間軸の設計が動画制作の出発点になる
- 動画は「時間のメディア」
- 小冊子(空間のメディア)とは異なり、動画は時間軸に沿って流れるため「見せる順番」の設計が必要。最初の3秒で視聴者が見続けるかどうかが決まる。スライドショーではなく、時間設計を行った動画を制作する方針を確認。
- うどん体験動画は「体験共有型」で制作
- 構成3型(起承転結型・問題提起型・体験共有型)のうち、さぬき体験工房のうどん踏み体験には「体験共有型」が最適と判断。ペルソナ(林田家のお母さん)の視聴シーンから冒頭カットを逆算する方針。
- 動画は複数本に分けて制作
- 北村さんの「歴史も伝えたい」という要望に対し、1本に全部入れるのではなく複数本に分ける方針を共有。うどん体験編を最初に制作し、歴史・景色は別の動画として順次取り組む。
