AI×動画制作コース
~第2話 台本をAIと一緒に書く~
小冊子は「手に取ってもらう」メディア、動画は「目に飛び込んでくる」メディアだと学んだ。動画は最初の3秒で見るか見ないかが決まり、時間軸に沿って「見せる順番」を設計する必要がある。構成3型(起承転結型・問題提起型・体験共有型)のうち、さぬき体験工房のうどん踏み体験には「体験共有型」が最適と判断した。動画制作の7ステップを整理し、「まずは台本から」と次の工程に進むことにした。
映像の設計図
【シーン】せとうちマーレブル事務所の簡易ミーティングスペース。会議テーブルの上で神谷がノートに手描きのストーリーボード(横長の四角い枠を6つ並べた図)を描いている。テーブルの上に小冊子と取材メモが広げてあり、ノートPCの画面に西園寺が映っている。宮本が横で画面を覗き込んでいる。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_meeting.png、第二参照=angle_desk.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png、kagawa/characters/西園寺設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビー系スーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、黒い短髪、スタッキングチェアに座りノートにペンを走らせている)。宮本彩(24歳・女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、ダークチェスナットブラウンのポニーテール、青緑色のシュシュ、スタッキングチェアに座り神谷のノートを覗き込んでいる)。ノートPC画面内に西園寺遥(30歳・女性、ベージュのジャケット、あごラインストレートボブ、細フレーム眼鏡、説明するような穏やかな表情)。 【構図】会議テーブルの斜め上からの構図。手前に神谷がノートに四角い枠を描いており、ペン先が見える。隣に宮本が身を乗り出している。テーブル上のノートPC画面に西園寺。テーブルの端に完成した小冊子と付箋の付いた取材メモ。 【小物】オーク調の中古会議テーブル、チャコールグレーの事務用スタッキングチェア、ノートPC(白)、神谷のA4ノート(手描きの四角い枠6つとメモ書き、具体的な文字は読めない程度)、黒いボールペン、完成した小冊子(暖色系の表紙、読める実テキストは描かない)、付箋の付いた取材メモファイル、宮本のマスタードイエローのリングノート。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】窓からの初秋の朝の自然光が白・グレー基調の事務所を明るく照らす。神谷のノートの白い紙面とペンのインクがアクセント。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
前回のオンライン会議で「まずは台本から」と決めた翌朝。せとうちマーレブルの事務所では、会議テーブルを囲んで神谷と宮本がスタッキングチェアに座り、ノートPCの画面越しに西園寺とオンラインでつながっていた。テーブルの端には完成した小冊子と取材メモのファイルが広げてある。




西園寺の説明で、1カットの書き方がイメージできた。映像の内容と秒数と音声を1つの枠に記入し、その枠を並べていけば、60秒の動画全体の流れが紙の上に見えてくる。

神谷がノートを広げ、横長の四角い枠を6つ並べて描いた。最初の枠に「子どもが笑っている」、次の枠に「うどんを踏んでいる」、3つ目に「出来上がったうどんを食べる」。小冊子の取材で見た場面はいくつも浮かぶが、並べてみると順番がしっくりこない。60秒という時間の中で何を先に見せて何を後にするか——紙の上で止まっている写真と違い、動画は流れの中で見せるメディアだ。
枠に書いた内容は断片的で、秒数も音声もまだ空欄のままだ。60秒を6つのカットに割ると1カットあたり10秒。しかしすべてのカットが同じ長さでは単調になる。冒頭は短くインパクトを出し、中盤はやや長めに見せ、ラストは余韻を残す。時間配分もまた設計のうちだ。


AIに3パターン出させる
【種類】概念図(テンプレート図)。人物は描かない。 【構図】横向きに6枠が並び、各枠の中に「カット番号」「映像内容」「秒数」「音声/BGM」の記入欄が示されている。枠の中は抽象的なアイコンと線で表現し、具体的な文字は最小限。全体がフラットデザインで統一されている。 【補助】タイトル「構成台本(ストーリーボード)のフォーマット」。 【色調】白背景に青とライトグレーのアクセント。各枠は薄い青の枠線、記入欄は灰色の破線。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
西園寺の提案で、AIに構成台本の原案を作らせることにした。神谷がまず素材を整理する。小冊子を作るときに蓄積した取材メモ。さぬき体験工房やフェリー、屋島で撮った写真のリスト。小冊子で使ったキャッチコピー。これらをひとつのファイルにまとめてAIに渡す準備をする。



神谷がプロンプトを打ち込む。目的は「さぬき体験工房のうどん踏み体験の魅力を伝えるSNS動画」。対象は「神戸在住の35歳のお父さんと33歳のお母さん、4歳の子ども。予算5万円以内で家族旅行を計画中」。条件は「60秒、体験共有型、冒頭でインパクトを出す。構成の異なる案を3つ出す」。形式は「カット番号・映像内容・秒数・音声の表形式で出力」。ペルソナカードの具体的な属性をそのまま落とし込んだプロンプトが完成した。
西園寺が画面越しに確認した。

【種類】概念図(比較図)。人物は描かない。 【構図】横3列のカード型レイアウト。左に「時系列型」(上から下へ矢印が順に流れるアイコン、「フェリー→体験→景色→夕日」の順序を抽象表現)、中央に「ハイライト型」(中央に大きな丸アイコンから放射状に広がるデザイン、冒頭に山場を置く構成を表現)、右に「問いかけ型」(「?」マークのアイコンから矢印が展開するデザイン)。中央のハイライト型のカードに緑のチェックマーク。 【補助】タイトル「AIが提案した3つの構成パターン」。各カード上部にパターン名。 【色調】白背景。時系列型は青、ハイライト型は緑、問いかけ型はオレンジのアクセントカラー。チェックマークは濃い緑。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
AIが3パターンの構成案を返してきた。1つ目は「時系列型」。フェリーに乗るところから始まり、うどん体験、屋島の景色、夕日までを1日の流れで順に追う。2つ目は「ハイライト型」。うどん踏み体験で子どもが音楽に合わせて踊り出す瞬間を冒頭に置き、強いインパクトから入る構成。3つ目は「問いかけ型」。「香川でしかできない体験、知っていますか?」という問いかけから始めて視聴者を引き込む。



「そんなに広くないです」
ハイライト型に決まり、AIが出したカットの詳細を確認していく。しかし、カット説明を順番に読んでいた宮本が画面をじっと見つめ、首を傾げた。



宮本の指摘はそれだけではなかった。カットの順序にも問題があった。


3人でカットの内容と順序を一つずつ確認し、修正を重ねた。「広いフロアで大人数が踊る」は「6名が向き合える体験スペースで足踏みをする」に書き替えた。カットの順序はこねる→踏む→音楽が始まる→踊り出す→食べる→笑顔に並べ直した。AIが書いた原案が、宮本の現場知識で実際に撮影できる台本に変わっていく。
修正の過程で神谷が気づいたことがあった。AIは60秒を均等に10秒ずつ6カットに割っていたが、宮本の修正を入れると、冒頭の「踊り出す瞬間」は3秒でインパクトを出し、「こねる」と「踏む」の工程はやや長めに見せ、「食べる→笑顔」は短くリズムよく終わらせたほうがいい。秒数の配分もまた、現場を知っている人の感覚が頼りだった。
撮影のチェックリスト
修正を終えた台本をノートの上で眺めながら、神谷がふと口を開いた。




神谷は小冊子を作ったときのことを思い出した。あのときも最初にページ構成を紙に書き出してからデザインに入った。完成品は途中で何度も変わったが、最初の設計図がなければ何をどこに入れるか決められなかったはずだ。台本も同じだ。撮影の前に方向性を固めておくことで、現場では「撮る」ことに集中できる。


60秒に収めた設計図
【シーン】夕方のせとうちマーレブル事務所。会議テーブルの上にノートが広げられ、手描きのストーリーボード(6枠、各枠に映像内容と秒数のメモ書き)が完成した状態で並んでいる。神谷が椅子に座ってノートを見つめ、宮本がマスタードイエローのリングノートに何かメモしている。窓の外は夕方の光。 【ロケーション固定】kagawa_13_marble_office に厳密準拠。第一参照=angle_meeting.png、第二参照=angle_window.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビー系スーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、黒い短髪、椅子に座り完成した台本を見つめている穏やかな表情)。宮本彩(24歳・女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、ダークチェスナットブラウンのポニーテール、青緑色のシュシュ、マスタードイエローのリングノートにペンでメモを書いている)。 【構図】会議テーブルを斜め正面から。テーブル中央に完成した台本ノートが広げてあり、手描きの6枠のストーリーボードとメモが見える(読める実テキストは描かない)。神谷は左手でノートの端を押さえ、宮本は右側で自分のリングノートに書き込んでいる。夕方の光が窓から差し込む。 【小物】オーク調の中古会議テーブル、チャコールグレーの事務用スタッキングチェア、完成した台本ノート(A4、手描きの6枠ストーリーボード+秒数と音声のメモ、読める文字は描かない)、宮本のマスタードイエローのリングノート、黒いボールペン2本、ペットボトルの水。 【ロケーション整合】kagawa_13_marble_office:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一仕様・同一寸法(約140×70cm)の薄いグレーのメラミン天板デスク2台(左の北村デスクに黒いデスクトップPCモニター+クリアファイルの山+波模様マグカップ、右の宮本デスクに白ノートPC+マスタードイエローのリングノート+付箋付きサブモニター)、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル(約140×80cm)+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚(+右壁際に重ねた予備1脚)、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、夕方の橙色の光+外に高松市内の中層ビルと空)+窓間のコルクボード(60×45cmの木枠、色数を抑えたピンで留めた小さな風景写真・無地の表・予定カード)、右壁のグレーのスチールラック4段(上段に白い防災ヘルメットと双眼鏡、中段に白・水色・グレーのファイルボックスとA4バインダー、下段に段ボール箱・青い再利用コンテナ・清掃用トング・緑の作業手袋)。 【色調】夕方の斜めの自然光が事務所を暖かく照らす。窓の外に薄い橙色の空。ノートの白い紙面に落ちる柔らかい影。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
午後の光が傾きかけた頃、修正を重ねた台本がようやく形になった。窓の外の空が薄い橙色に染まり始めている。コルクボードに貼られた観光マップが、斜めの光に照らされて色づいて見えた。ノートの上に手描きのストーリーボードが並んでいる。6つの枠のそれぞれに映像の内容が書き込まれ、横に秒数と音声のメモが添えてある。
60秒の中に収めた流れはこうなった。冒頭カットは「子どもが足踏みの音楽に合わせて笑い出す瞬間」で3秒。そこから生地をこねる手元のアップが8秒、踏み始める足が7秒、音楽のリズムに乗って自然に体が揺れ始める瞬間が12秒、出来上がったうどんをみんなで食べる笑顔が10秒。最後にさぬき体験工房の外観と場所の情報で5秒。残り15秒は予備として現場で調整する。
ペルソナの林田家のお母さんが金曜の夜にスマートフォンをスクロールしている。その画面に、冒頭の子どもの笑顔が飛び込んでくる。「うちの子と同じくらいの年齢だ」と思って指が止まる——その瞬間を設計するために、この台本がある。


宮本がマスタードイエローのリングノートを開き、「工房下見・藤原さん連絡・光の入り方確認」と書き込んだ。台本ができたことで、次にやるべきことが具体的に見えてきた。設計図を手に、次はいよいよ現場に出る。
📌 覚えるポイント
- 構成台本(ストーリーボード)は映像の設計図。動画の台本はセリフの原稿ではなく、「何が映っているか」「何秒映すか」「どんな音が入るか」をカット単位で設計するもの
- AIに台本を作らせるときは、取材メモ・写真リスト・キャッチコピーなどの素材をまとめて渡し、複数パターンを出させる。1案に固執せず比較検討する
- プロンプトの4要素(目的・対象・条件・形式)は動画でも同じ。ペルソナの具体的な属性をプロンプトに入れることで、AIの提案が的を絞った内容に変わる
- AIの台本は現場で直す。AIは場所の広さも設備の制約も知らない。現場を知っている人が台本と実態を照らし合わせ、合っていないカットの内容や順序を修正する工程が必須
- 台本は完成品ではなく設計図。撮影現場で変わることもあるが、設計図がなければ撮り忘れが起きる。台本は「撮影のチェックリスト」として機能する
- ペルソナの視聴シーンから冒頭カットを逆算する。「誰が・いつ・どんな状況で見るか」を想像し、その瞬間に指が止まるインパクトを台本の冒頭に設計する
📖 覚える用語
- 構成台本(ストーリーボード)
- 「何を・何秒で・どう見せるか」の設計図。カットごとに映像の内容・秒数・音声を記載し、撮影と編集の指針になる。映画のセリフ台本とは異なり、映像の並び順と時間配分を設計することが目的
- 構成台本(ストーリーボード)を作成
- 動画の台本はセリフではなく、カットの並び順と秒数を決める映像の設計図。手描きで枠を並べ、映像内容・秒数・音声を記入する形式で構成台本を作成した。
- AIで3パターン生成しハイライト型を採用
- 取材メモ・写真リスト・キャッチコピーをAIに渡し、時系列型・ハイライト型・問いかけ型の3案を比較検討。うどん踏み体験の踊る瞬間を冒頭に置くハイライト型を採用した。
- 宮本さんの現場知識で台本を修正
- AIは「広いフロアで大人数が踊る」と書いたが、実際の工房は足踏み6名が限度。カットの順序も体験の工程に合わせて並べ直した。現場を知る人がAI原案を実態に合わせて直す工程が不可欠。
