AI×動画制作コース
~第3話 スマホ1台で、ここまで撮れる~
構成台本(ストーリーボード)をAIに3パターン生成させ、ハイライト型を選択した。宮本が「さぬき体験工房はそんなに広くない」と現場知識で修正し、冒頭カットを「子どもが音楽に合わせて笑い出す瞬間」に決定。台本は映像の設計図であると同時に撮影のチェックリストでもあり、AIが原案を速く出して現場を知る人が修正する組み合わせが鍵だと確認した。
撮影準備と友達の招集
【種類】概念図(機材構成)。人物は描かない。 【構図】中央にスマートフォンのアイコン(やや大きめ)、左下に三脚のアイコン、右下にピンマイクのアイコン。3つを点線の三角形でつなぎ、スマホの横に「安定した映像」、三脚の横に「手ブレ防止」、ピンマイクの横に「クリアな音声」とキャプション。全体がフラットデザインのシンプルなレイアウト。 【補助】タイトル「スマホ撮影の最小構成」 【色調】白背景にティール系のアクセントカラー。アイコンはフラットなモノトーン+1色。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
台本が完成した翌日。せとうちマーレブルの事務所で、神谷と宮本はノートPCの画面越しに西園寺とオンラインでつながっていた。台本はできた。あとは実際に撮るだけだ。しかし神谷の頭には不安が先に立つ。




機材の不安が解消されたところで、撮影計画の話に移る。台本に沿って、午前中にさぬき体験工房でうどん踏み体験の撮影、午後に屋島山上で補完用のカットも撮る段取りだ。


宮本がもうひとつ切り出した。




さぬき体験工房へ
【シーン】さぬき体験工房の体験スペースで、友達2人と子どもが音楽に合わせてうどんの生地を踏みながら踊っている。神谷がスマホを三脚に固定して撮影中。藤原が腕組みで見守り、お母さんが笑顔で子どもを見ている。粉が舞い、窓から夏の光が差し込む。 【ロケーション固定】kagawa_14_udon_workshop に厳密準拠。第一参照=angle_beat.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png、kagawa/characters/藤原耕介設定画像.png、kagawa/characters/安田凛設定画像.png、kagawa/characters/橋本真帆設定画像.png、kagawa/characters/撮影協力の親子設定画像.png。 【人物】安田凛(24歳・女性、白のフレンチスリーブTシャツ、ベージュのワイドパンツ、裸足でビニールシートの上で笑顔で踊っている)。橋本真帆(24歳・女性、淡いラベンダーのオーバーサイズTシャツ、デニムのショートパンツ、裸足でリズムに乗って踏んでいる)。4歳くらいの子ども(明るいオレンジのTシャツ、裸足、笑顔で自然にリズムに乗っている)。お母さん(30代前半、白い半袖ブラウス、笑いながら子どもを見ている)。神谷悠馬(27歳・男性、ネイビーのスーツに白シャツ、三脚に固定したスマホのそばで画面を確認中)。宮本彩(24歳・女性、ティールのライトウィンドブレーカー、リズムに巻き込まれて体が揺れている)。藤原耕介(62歳・男性、白い割烹着風作業着、肩に波模様の手ぬぐい、腕組みで穏やかに目を細めている)。 【構図】体験スペースのオープンフロアを正面からやや俯瞰で。中央にビニールシートの上で踊る安田・橋本・子どもの3人。右手前に三脚のスマホと神谷。左に宮本と藤原。奥にお母さん。天井から暖色のペンダントライトが垂れ、窓から差し込む夏の光で白い粉がきらきら舞っている。 【小物】三脚に固定されたスマートフォン、足踏み用の透明ビニールシートとうどん生地の塊、カラフルなテープの立ち位置マーキング、天井のBGMスピーカー。 【ロケーション整合】kagawa_14_udon_workshop:ステンレス天板の作業台3台横一列(各台に木製のし板+白い打ち粉+木製麺棒+麺切り包丁セット)、足踏み体験スペース(オープンフロア+カラフルなテープの立ち位置マーキング+透明ビニールシートに包まれたうどん生地+壁掛けリズムモニター)、高い天井の鉄骨梁(ダークブラウン〜黒のH鋼3本)+黒い金属シェードの工業用ペンダントライト6灯(暖色光)、古材風木製テーブル2卓+木製ベンチ4脚の試食スペース(テーブル上に醤油差し・七味・箸立て・すだち小皿)、ガラスの引き戸+上の木製看板(抽象文字)+白い暖簾+入口横の受付カウンター(紙の予約台帳+黒い固定電話)。 【色調】窓から差す夏の自然光と暖色のペンダントライトが交差し、白い打ち粉が光の中を舞う明るく温かい空間。インダストリアルな骨格と手作り体験の楽しさが同居する雰囲気。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
さぬき体験工房に着くと、工房を営む藤原さんが入口で待っていた。白い割烹着に肩の手ぬぐい。工房の中には、ステンレスの作業台が3台並び、高い天井の鉄骨梁から黒いペンダントライトが暖かい光を落としている。

藤原さんが指したのは、入口近くの窓際のポジションだ。たしかに夏の日差しがガラス越しに差し込み、空気中に漂う白い打ち粉がきらきらと光っている。職人は「いい画」の場所を、30年の経験で知っていた。
工房にはたまたま体験に来ていた若いお母さんと4歳くらいの子どもがいた。工房の奥の作業台では、もう1組の家族連れが黙々と生地をこねている。
しばらくして、宮本の友達2人が到着した。旅行代理店で働く安田凛と、アパレルのSNS担当をしている橋本真帆。工房に入ったとたん、2人の目が輝いた。



橋本はスマートフォンを構え、宮本は少し誇らしげだった。
音楽が鳴る、自然に生まれる映像
友達2人が初めての体験者としてビニールシートの上に立ち、裸足で生地を踏み始めた。


藤原さんがいつものようにスピーカーの電源を入れた。ポップスが流れ出すと、TikTokのリズムに身体が馴染んでいる友達2人がすぐに踊り始めた。安田が足踏みに合わせて腰を振り、橋本がステップを刻む。体験中の子どもも2人のリズムにつられて、小さな足でトントンと踊り出した。宮本もいつの間にか巻き込まれて、全員が音楽に合わせて踏んでいる。お母さんが笑いながら子どもを見ていた。
台本で想定していた以上だった。「子どもが笑い出す瞬間」を冒頭カットに決めていたが、目の前で起きていることはそれを超えている。初めて来た人が自然にリズムに乗って踊り出す。その空気は、台本のカットを並べただけでは生まれない。
神谷が手持ちのスマートフォンで撮り始めたが、踊る2人の振動が床に伝わり、画面が小刻みに揺れる。西園寺にオンラインで状況を伝えると「三脚に固定してもう一度撮ってみて」と指示があった。三脚にスマートフォンをセットし直して撮ると、安定した映像になった。手持ちでは気にならなかった揺れが、画面越しに見ると想像以上に気になる。三脚の効果を実感した瞬間だった。
【種類】概念図(Bロール構成)。人物は描かない。 【構図】上段に大きな1枠で「メインカット」(うどん踏みの全体像を抽象的な線画で暗示)、下段に4つの小枠を横に並べて「Bロール」(左から「手元のアップ」「足踏みの瞬間」「表情のアップ」「粉が舞う様子」をアイコン的に表現)。上段から下段に矢印が伸び、「編集で組み合わせる→映像に緩急が生まれる」のキャプション。 【補助】タイトル「Bロールで映像に呼吸を与える」 【色調】白背景に暖色系のアクセント。枠線はグレー、メインカットの枠はやや太く。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
踊るシーンを撮り終えた後、ファミリー向け動画の素材として、子どもがお母さんと一緒に生地をこねる様子も撮った。さらに別アングルで、手元のアップ、足踏みの瞬間、子どもの笑顔、粉が舞う光景、友達2人のリアクション、お母さんが子どもを見る表情を撮っておく。



さぬきビート命名と撮影同意
撮影が一段落し、休憩に入った。神谷は撮影した映像の使用許可を求めるため、体験に来ていたお母さんに声をかけた。

お母さんが「うちの子の顔は出して大丈夫ですか?」と聞き返した。神谷がオンラインで西園寺に相談すると、明確な助言があった。

神谷はその場で簡易の撮影同意書を作成し、お母さんにサインをもらった。使用範囲はせとうちマーレブルのSNSアカウントに限定し、お母さんから削除の依頼があれば速やかに対応することを書面に記した。
撮り終えた映像の音を確認すると、藤原さんのスピーカーから流れていたポップスが全編に入っていた。神谷は「ナレーションは別撮りにしないと聞き取れませんね」と収録の段取りの問題として片づけた。この曲がもうひとつ別の問題をはらんでいることには、この時点では誰も思い至らなかった。
休憩中、橋本が笑いながら切り出した。




宮本は目を輝かせ、神谷も苦笑いで認めた。こうして仮称「うどんダンダンダンス」は「さぬきビート」に正式に改名された。SNSでは、ハッシュタグ(#をつけた検索キーワード)が投稿を見つけてもらう入口になる。
屋島山上で光を学ぶ
【シーン】やしまーるの回廊で、午後のサイド光が白い丸鋼管柱の影を長く落とす中、神谷がスマホを構えて瀬戸内海のパノラマを撮影している。宮本が横で光の方向を指差して説明している。 【ロケーション固定】kagawa_15a_yashimaru_corridor に厳密準拠。第一参照=master.png、第二参照=angle_sea.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png、kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳・男性、ネイビーのシングル2つボタンスーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、スマホを両手で構えてガラス越しの海を撮影中)。宮本彩(24歳・女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、片手で窓の外の光の方向を指差して説明している)。 【構図】回廊の中央部を歩く目線高のパース。左右にカーブドガラス壁(外側に瀬戸内海と島影、内側に黄土色〜淡い砂色の乾いた地表の中庭と曲線状の低い粗石列)。午後のサイド光が白い丸鋼管柱に長い影を落とし、庵治石の屋根がシルバーグレーに光っている。手前に神谷と宮本、奥に曲線の回廊が続く。 【小物】神谷のスマートフォン、宮本のマスタードイエローのリングノート。 【ロケーション整合】kagawa_15a_yashimaru_corridor:外周・中庭側とも床から天井近くまで続く連続ガラス(透明ガラス+細い縦枠+曲線を追う白い丸鋼管柱)と、局所的に現れる打放しコンクリートの曲面壁・コアが交互に立ち上がる回廊(ガラスだけの均一なチューブ状通路にはしない)、小さな庵治石瓦が約3万枚、細かな水平列をつくる薄い波形屋根(光によりシルバーグレー〜青みグレーに変化)、継ぎ目の少ないマットな灰色の床が、地形に沿って緩く上下しながら幅も変える通路(蛇行する曲線)、ガラス越しの眺望(外側: 屋島の緑+瀬戸内海のコバルトブルー+島影、内側: 黄土色〜淡い砂色の乾いた地表の中庭+曲線状の低い粗石列+点在する若木)、曲線を追う白い丸鋼管柱+局所的な打放しコンクリートの曲面壁・コア。 【色調】午後のサイド光が回廊に斜めに差し込み、白い柱に長い影を落とす。ガラス越しの瀬戸内海はコバルトブルー、庵治石の屋根はシルバーグレー。自然光が刻々と変わる時間帯。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
【種類】概念図(光の方向)。人物は描かない。 【構図】中央に被写体のシルエット(人の輪郭、顔の特徴は描かない)を置き、左上・右上・右横の3方向から太陽のアイコンと光の矢印を描く。左上の太陽から正面に光が当たる矢印に「順光=色鮮やか」、右上の太陽から背面に光が当たる矢印に「逆光=シルエット」、右横の太陽から横に光が当たる矢印に「サイド光=立体感」とキャプション。 【補助】タイトル「光の3方向と映像の印象」 【色調】白背景にゴールデンイエローの太陽アイコンと矢印。被写体シルエットはグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
午後、屋島山上へ移動した。やしまーるでの撮影は、宮本が前日のうちに施設へ電話し、来館者の通行を妨げない範囲で手持ち撮影を行うこと、公開時に施設名を記載することを伝えて了解を得ていた。約200mの回廊を歩くと、自然光が雲の動きで刻々と変わる。5分前と色味が違う。ガラス越しの瀬戸内海がコバルトブルーからセルリアンに揺れ、庵治石の屋根がシルバーグレーに光ったかと思えば、雲が通り過ぎた瞬間に影が走る。



獅子の霊巌に移動した。午後の太陽が傾き始め、展望台から見る瀬戸内海に光の帯が伸びている。宮本が「ここです。午後の逆光がすごいんです」と案内し、展望台から瀬戸内海のパノラマをBロール用に収めた。
小冊子のために写真で見ていた屋島と、カメラを構えて立つ屋島は別物だった。風の強さ。雲が動くたびに色が変わる海。島影のシルエットが刻一刻と表情を変える。写真では伝わらない、時間の中で変化し続ける景色がここにあった。
来た人にしかわからない。だからこそ来てもらうための動画を作っている。神谷はスマートフォンのファインダー越しに、その確信を持った。
200カットと宮本の自信
夕方、屋島山上で1日の撮影が終わった。宮本がスマートフォンで撮影データをクラウドにバックアップし始めた。



帰り際、友達2人が宮本に声をかけた。



旅行代理店で働く同期やSNSを仕事にしている友達の目に、自分の仕事が「面白い」と映ったこと。それは宮本にとって、小さいけれど確かな自信の芽だった。
📌 覚えるポイント
- スマートフォン+三脚+ピンマイクの3点セット。高価な機材がなくてもスマートフォン1台と三脚・ピンマイクがあれば、手ブレのない安定した映像と聞き取りやすい音声が撮れる。屋外ではピンマイクに風防を付ける
- 被写体を変えればターゲットが変わる。同じロケーションでも、友達2人を被写体にすれば若い女性向け、親子を被写体にすればファミリー向けのコンテンツになる
- メインのカットだけでは映像が単調になる。手元のアップ、表情、風景など別アングルの補完カット(Bロール)を撮っておくと、編集で緩急がつけられる
- 光の方向で印象が変わる。順光は色がきれいに出る、逆光はシルエットが印象的、サイド光は立体感が出る。撮影の時間帯と場所の選定に直結する
- 子どもの撮影は保護者の同意を書面で残す。口頭でも同意は成立するが、争いになったときに証明できない。使用範囲・期間・削除のルールを決め、撮影同意書にサインをもらう
- 撮影データはその場でクラウドにバックアップ。一日分の素材が消えたら取り返しがつかない。撮影が終わったらすぐにクラウドへ保存する習慣をつける
📖 覚える用語
- Bロール
- メインの映像を補完する別アングルのカット。手元のアップ、表情、風景など。メインカットだけでは映像が単調になるが、Bロールがあると編集で緩急がつけられ、映像に「呼吸」が生まれる
- スマートフォン撮影で200カット収録
- 機材は事務所にあった三脚とピンマイクを流用したので、新規の購入費はかかっていない。1日のロケで編集に必要な素材がひととおり揃ったため、動画制作を外注せず社内で回せる見通しが立った。他のスポットも同じ構成でそのまま撮影できる。
- 「さぬきビート」に正式改名
- 名前は社内で決めず、SNSを仕事にしている外部の目に「指が止まるかどうか」で選んでもらった。自分たちだけで進めていたら仮称のまま走っていたと思う。今後ホームページや小冊子で体験名を出すときは、表記を「さぬきビート」に統一したい。
- 撮影同意書の取得と今後の課題
- 同意書はその場で手書きしたが、撮影のたびに文面を作るのは現実的でない。ひな形を1枚用意して受付カウンターに常備し、体験の申し込みを受ける段階で撮影の可否を確認する運用に変えたい。削除の依頼を受ける窓口も、事務所の連絡先で一本化しておく必要がある。
