AI×動画制作コース
~第6話 この曲、使っていいんですか?~
AI文字起こしによるテロップ制作に取り組み、固有名詞の誤変換を手動修正した。テロップのデザインとスマートフォンでの文字サイズ調整を経て、宮本が「テロップの修正、私がやります」と動画制作ワークフローに一歩踏み込んだ。
フリー素材BGMの落とし穴
【シーン】せとうちマーレブル事務所で、PCモニターにフリー素材サイトの利用規約が表示されている場面。「個人利用のみ・商用不可」の文言が赤でハイライトされている。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_desk.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳男性、濃紺のシングル2つボタンスーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、椅子に座ってモニターを見つめている)、宮本彩(24歳女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、隣に立って画面を覗き込んでいる。眉を寄せた表情)。 【構図】北村のデスク側のPCモニターを中心に、2人を斜め後方からバストアップで。モニター画面に利用規約のテキストと赤いハイライトが見える。 【小物】黒いPCモニター、黒いキーボード、宮本のマスタードイエローのリングノート、波模様のマグカップ、クリアファイルの山。 【ロケーション整合】kagawa_13:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一寸法の薄いグレーのメラミン天板デスク2台、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光)+窓横のコルクボード、右壁のグレーのスチールラック4段。 【色調】午前の自然光ベース。白・グレー基調の室内。モニター画面の赤いハイライトが目を引く。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
テロップの修正作業が一通り済み、動画はほぼ完成していた。映像にナレーションとテロップが載り、15秒ショート版と60秒フル版の両方が形になっている。残る工程はBGMを載せて公開するだけだ。宮本が以前見つけたフリー素材サイトのBGMが仮で入れてあった。



神谷がフリー素材サイトの利用規約ページを開いた。画面をスクロールしていくと、小さな文字ではっきりと書かれている。「本サイトの音源は個人利用に限ります。商用利用は禁止です」





「フリー素材」の「フリー」は「無料」を意味しているだけだ。「自由に使える」「好きなように加工できる」という意味ではない。ダウンロードの手軽さに惑わされず、利用条件を確認する。写真で学んだこのルールは、音楽にもそのまま当てはまった。
「あ、この子……」──映り込んだ肖像権
1つ目の問題が見つかった直後、念のため撮影素材を最初から見返すことにした。宮本がタイムラインをスクロールしていく。あるカットで、宮本の手が止まった。



撮影当日、神谷と宮本は同意書をもらった親子に集中していた。画面の端にいた別の家族のことは意識していなかった。丁寧にやったつもりでも、見落としは起きていた。




「その曲、誰のもの?」──収録音と著作隣接権
【種類】概念図(関係図)。人物は描かない。 【構図】横並びに3つの枠を配置し、左から「フリー素材BGM:商用不可」「映り込んだ子どもの肖像権:撮影同意なし」「収録音の市販曲:権利未処理」。各枠の下に対処法を示す矢印と小さな枠(「利用規約を確認し差し替え」「カットを差し替え+同意の仕組み化」「音声を落として差し替え」)。3つの枠の上に「公開前に発覚した3つの権利問題」というタイトル。 【補助】タイトル「公開前の権利チェック──3つの問題」。各枠にアイコン的な記号(音符・人影・スピーカー)。 【色調】警告を示す暖色系(オレンジ・赤)のアクセント。背景は白。枠は淡いグレーの角丸。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
2つの問題が見つかり、神谷の心は騒いでいた。BGMの権利問題に加えて、映り込みの肖像権まで。そのとき、西園寺がさらに音声に気づいた。

神谷がヘッドフォンを当てて映像の音声トラックを聴き直した。ナレーションの裏に、うっすらとポップスが聞こえる。撮影時、工房で藤原がスピーカーから流していた市販曲だ。


撮影時、神谷は「ナレーションが聞き取りにくい」という収録上の問題としか認識していなかった。ナレーションを別撮りにしたことで音声の問題は解決したと思い込んでいたが、映像に残っている市販ポップスの権利はまったく別の問題だ。



3つ目の問題だった。BGMの商用利用条件、映り込んだ子どもの肖像権、そして収録音に含まれる市販曲の権利。後から選んで足す音も、現場で意図せず録れた音も、他人の著作物であることに変わりはない。1つ見つけたら安心ではなく、複数の権利を横断的にチェックする視点が必要だった。
Sunoで音楽を作る──AI生成物の権利
【シーン】せとうちマーレブル事務所で、PCモニターにAI音楽生成ツールの画面が表示されている場面。プロンプト入力欄と複数の生成トラックが並ぶUIが抽象的に描かれている。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_desk.png、第二参照=angle_meeting.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。 【人物】神谷悠馬(27歳男性、濃紺のシングル2つボタンスーツ、白シャツ、ネイビー無地ネクタイ、PCを操作している)、宮本彩(24歳女性、ティールのライトウィンドブレーカー、淡いライトブルーのポロシャツ、ヘッドフォンを片耳にかけて曲を試聴している。少し驚いた明るい表情)。 【構図】2人を斜め横から。神谷がPCを操作し、宮本が隣でヘッドフォンを片耳にかけている。モニターに抽象的な波形と再生ボタンが並ぶUI。 【小物】黒いPCモニター(抽象化されたUI画面)、黒いヘッドフォン、宮本のマスタードイエローのリングノート、波模様のマグカップ。 【ロケーション整合】kagawa_13:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一寸法の薄いグレーのメラミン天板デスク2台、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚、奥壁の引き違い窓2連から自然光、右壁のグレーのスチールラック4段。 【色調】午前の自然光。白・グレー基調の室内にモニター画面の明るいUI。宮本の表情に柔らかな光。 【避ける】読める実テキスト、商標、実在ロゴ(Sunoのロゴや具体的UI要素は描かない)、他人物、写真風の質感。
3つの問題が出揃った。西園寺が解決策を整理する。映り込みのカットは差し替えるとして、BGMと収録音の問題はまとめて対処できる。元の音声トラックから市販曲を落とし、新たにBGMを用意すればいい。



神谷がSunoの画面を開き、プロンプト(AIへの指示文)を入力した。「さぬきビートの足踏み体験に合う、テンポのいいポップス。明るく楽しい雰囲気。60秒」数十秒の処理の後、画面に複数のオリジナル楽曲が並んだ。

宮本がヘッドフォンで順に試聴していく。3曲目のアップテンポな楽曲で、宮本の表情がぱっと明るくなった。





利用規約を確認し、商用利用が認められるプランで生成していることを確認した。AI音楽生成は手軽で強力だが、「AIが作ったものだから著作権フリー」とは限らない。生成ツールの規約は変わることがあり、無料プランと有料プランで商用利用の条件が異なる場合もある。使う時点の規約を必ず確認し、記録しておく。3曲目に決定し、体験工房動画のBGMが、規約上この用途で使えるオリジナル楽曲に差し替わった。ただし「AIが作った曲だから完全に自由」ではない。生成された曲が既存の曲に似てしまう可能性はゼロではないし、AIが作ったものにそのまま著作権が生じるとも限らない。使えるのは、規約が認めた範囲までだと理解しておく。
仕組み化──「撮る前に範囲を決める」
【種類】概念図(チェックリスト)。人物は描かない。 【構図】縦に4つのチェック項目を並べたリスト形式。各項目の左にチェックボックス。①「BGM:利用規約の確認(商用利用可か)」②「収録音:映像内に市販曲が含まれていないか」③「出演者:撮影同意書(モデルリリース)の取得状況」④「映り込み:背景に同意を得ていない人物が映っていないか」。上部に「公開前の権利確認チェックリスト」のタイトル。 【補助】タイトル「公開前チェックリスト──4つの確認項目」。各項目の右に小さなアイコン(音符・スピーカー・ペン・目)。 【色調】落ち着いた青系のアクセント。背景は白。チェックボックスは緑。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
BGMと収録音の問題はSunoのオリジナル楽曲で解決した。残るのは映り込みの問題だ。



西園寺の提案で、公開前の権利確認チェックリストを作成した。4つの確認項目だ。1つ目、BGMの利用規約を確認したか。2つ目、映像内に市販曲が含まれていないか。3つ目、出演者全員の撮影同意書(モデルリリース)を取得したか。4つ目、背景に同意を得ていない人物が映っていないか。




チェックリストは紙1枚に収まるシンプルなものだ。しかしこの4項目を撮影前と公開前の2回チェックするだけで、今回のような問題は未然に防げる。善意や注意深さだけでは漏れるものを、仕組みの力が補う。
「公開する前でよかった」
3つの問題はすべて解決策が見つかった。BGMと収録音はSunoのオリジナル楽曲に差し替え、映り込みのカットも別のカットに置き換えた。Sunoが生成したBGMがスピーカーから流れている。さぬきビートの足踏みにぴったりのテンポだ。
📌 覚えるポイント
- 「無料」と「商用利用可」は別の条件。ダウンロードする前に利用規約を読み、「個人利用のみ」「クレジット表記必須」「加工禁止」といった制限を見落とさない
- 撮影現場で流れていた市販曲が録れてしまった場合も、映像への写り込みと同じ規定(著作権法30条の2)で判断する。ごく短く小さく入っただけの「軽微な部分」なら認められることもあるが、今回のように曲が全編に入り踊りと一体の主役になっている場合はその範囲を超える。後から足すBGMとは別に権利処理が要る
- 撮影同意は「撮りたい相手」だけでなく、画面に映り込む可能性のある全員を対象にする。子どもの場合は保護者の許諾(モデルリリース)を書面で残す。肖像権は判例法理で、書面がなければ争いのときに証明できない
- 善意や注意深さでは、いつか漏れる。撮影前に同意を取る範囲を定めてチェックリストに落とし、仕組みとして運用する
- Sunoなどのツールでオリジナル楽曲は作れるが、商用に使えるかどうかはプランと利用規約で決まる。「使えるか」と「使っていいか」は常に分けて確認する
- BGMの利用規約、収録音に含まれる市販曲の有無、出演者の撮影同意書、背景への映り込み——この4項目を公開前に毎回チェックする
📖 覚える用語
- Suno(AI音楽生成)
- テキストプロンプト(AIに出す文章の指示)からオリジナル楽曲を生成するAIツール。商用利用の可否はプランと利用規約による。AI生成コンテンツの権利は法整備が追いついていない領域であり、使う時点の規約を必ず確認して記録しておく
- 著作隣接権(原盤権)
- 撮影現場で流れていた市販曲は、映像に「写り込んだ」のではなく「録れてしまった」もので、後から足すBGMとは別に権利処理が要る。対処は音声トラックを落として差し替えること
- モデルリリース
- 撮影対象者の肖像使用許諾書。使用する媒体・使用期間・削除の条件を書面で明確にする。子どもの場合は保護者の書面による同意が必要で、口頭だけでは不十分
- フリー素材BGMの権利問題と対応
- 仮置きしていたフリー素材BGMが「個人利用のみ・商用不可」であることが判明しました。同様に、撮影現場で録れていた市販曲の音声トラックも権利上使えません。両方の問題を解決するため、AI音楽生成ツール「Suno」でオリジナル楽曲を生成し、BGMを差し替えました
- 映り込んだ子どもの肖像権への対処
- 体験工房の撮影素材を確認したところ、撮影同意を取っていないもう1組の家族連れの子どもが背景に映り込んでいました。該当カットを別のカットに差し替えて対処しました
- 公開前の権利確認チェックリストの作成
- 今後の再発防止のため、BGMの利用規約・収録音の確認・出演者の撮影同意書・映り込みチェックの4項目からなる公開前チェックリストを作成しました。次回以降の撮影・公開時に運用します
