AI×動画制作コース
~第9話 "また見たい"を仕組みにする~
さぬきビートのTikTok動画が海外ユーザーのデュエット投稿をきっかけに爆発的に拡散した。北村代表理事は海外からの反響に涙し、自ら旅行会社に電話して多言語ツアーページの交渉を始めた。バズの興奮のなかで西園寺が「ペルソナの軸がぶれたらバズに振り回されるだけ」と釘を刺し、プライマリーターゲットを林田家に置いたまま、海外の受け皿を並行で整備する方針が固まった。
フォロワー数より"また見たい"の数
【シーン】せとうちマーレブル事務所で、神谷と宮本がノートPCの画面に映る前川さくらとオンライン通話をしている場面。宮本が手元のフィールドノートにメモを取りながら画面を見ている。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_desk.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。kagawa/characters/前川さくら設定画像-黒髪.png。 【人物】神谷(27歳男性、ネイビーのスーツ、ノートPCの画面を見ている。真剣な表情)、宮本(24歳女性、ティールのジャケット、マスタードイエローのリングノートにメモを取りながら画面を見ている)。ノートPCの画面には前川の姿が小さく映っている(顔の細部は描かない)。 【構図】宮本のデスク付近で2人がノートPCの画面に向かっている。やや斜め前方から、2人の表情とノートPCの画面が見える角度。 【小物】宮本の白ノートPC(画面にオンライン通話の抽象的なUI)、宮本のマスタードイエローのリングノート、黒いスマートフォン。 【ロケーション整合】kagawa_13:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一寸法の薄いグレーのメラミン天板デスク2台、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光)+窓横のコルクボード、右壁のグレーのスチールラック4段。 【色調】秋の午前の自然光ベース。白・グレー基調の室内。窓から柔らかい光が差し込む。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
さぬきビートのバズ(SNSで爆発的に話題になること)から数日が過ぎた秋の朝。せとうちマーレブルの事務所では、旅行会社との打ち合わせ準備と並行して、もう一つの課題が浮かび上がっていた。バズで急増したフォロワー(自分の投稿を見てくれている人)をどうつなぎとめるか。神谷は、まるやまマートの駅前店でSNSやLINEの発信を担当している前川さくらにオンラインで相談を持ちかけた。
ノートPCの画面に前川の笑顔が映った。前川は若手ながらSNSの運用に明るく、まるやまマートで実際に店舗のSNSアカウントを育ててきた経験がある。


前川の言葉は明快だった。バズは入口にすぎない。一度見てくれた人が「次も見よう」と思ってくれなければ、再生数はやがてゼロに戻る。


コンテンツカレンダーを組む
【シーン】せとうちマーレブル事務所のホワイトボードの前で、宮本が赤いマーカーを手に曜日とコンテンツの予定を書き出している場面。横で神谷がスマートフォンの画面を見ている。奥のノートPCの画面にはオンライン通話の西園寺と前川が映っている。 【ロケーション固定】kagawa_13 に厳密準拠。第一参照=angle_board.png、第二参照=master.png。 【キャラクター参照】kagawa/characters/宮本彩設定画像.png。kagawa/characters/神谷悠馬設定画像.png。kagawa/characters/西園寺設定画像.png。kagawa/characters/前川さくら設定画像-黒髪.png。 【人物】宮本(24歳女性、ティールのジャケット、右手に赤いマーカーを持ちホワイトボードに向かって立っている。集中した表情)、神谷(27歳男性、ネイビーのスーツ、宮本の横に立ちスマートフォンの画面を見ている)。 【構図】ホワイトボードを中心にやや引いた構図。宮本がボードに書き込む姿がメイン。神谷が横で見守る。背景にデスク上のノートPCの画面がわずかに見える。 【小物】ホワイトボード上の赤・青・黒の抽象的な線(曜日と矢印を暗示する図形)、マーカー3本とイレーサー、神谷の黒いスマートフォン。 【ロケーション整合】kagawa_13:奥壁の2連窓下に前縁をそろえて横一列に並ぶ同一寸法の薄いグレーのメラミン天板デスク2台、右壁側の窓とラックの間に置く約180×90cmの横長キャスター付き自立式ホワイトボード(赤・青・黒の抽象的な海岸線・清掃地点・工程枠+マーカー3本+イレーサー)、手前右のオーク調中古会議テーブル+チャコールグレーの事務用スタッキングチェア3脚、奥壁の引き違い窓2連(白いアルミサッシ、右窓から自然光)+窓横のコルクボード、右壁のグレーのスチールラック4段。 【色調】秋の午前の自然光ベース。白・グレー基調の室内にホワイトボードの赤・青の線がアクセント。 【避ける】読める実テキスト、商標、他人物、写真風の質感。
前川のアドバイスを受けて、宮本がホワイトボードの前に立った。赤いマーカーを手に、1週間の曜日を横に並べて書き始める。ノートPCの画面では、西園寺と前川がオンラインで参加している。前川の提案で、まず投稿の頻度から決めることになった。


宮本がホワイトボードに「火=うどん」「金=風景」と書き込んだ。投稿の内容・タイミング・頻度を計画的に管理するこの仕組みを、コンテンツカレンダーと呼ぶ。曜日ごとにテーマが決まれば、何を撮るか、何を編集するかが自然と見えてくる。


宮本がスマートフォンを取り出し、画面をノートPCのカメラに向けた。コメントと"いいね"の通知がずらりと並んでいる。

【種類】概念図(コンテンツカレンダー構造図)。人物は描かない。 【構図】1週間の曜日を横軸に配置し、火曜(うどん体験動画)と金曜(屋島・フェリーの風景動画)に投稿マークを配置。下段にペルソナ(林田家)の生活リズムを対応させる(火曜=週の疲れ→癒し、金曜夜=寝かしつけ後→"週末どこ行こう")。矢印で「ペルソナの生活リズム→投稿タイミング」の逆算を示す。 【補助】上段タイトル「コンテンツカレンダー」、下段キャプション「投稿のタイミングはペルソナの生活リズムから逆算する」。 【色調】暖色系のアクセント(火曜=オレンジ系、金曜=ブルー系)を基調に、背景は淡いグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
日々の反応の手応えとペルソナの生活パターンを重ね合わせて、投稿タイミングを割り出す。気づけば宮本が、反応の多い時間帯から投稿の時間を提案していた。

ホワイトボードのコンテンツカレンダーに、投稿時間が書き加えられた。「金曜 21:00」。林田家のお母さんが子どもを寝かしつけて、ほっとひと息ついてスマートフォンを開く時間。そこに屋島の風景が流れてくる。投稿の設計は、届けたい人の1日を想像することから始まる。
コメント返信ルール
コンテンツカレンダーの枠組みが決まると、宮本がフィールドノートを開いて次の議題を切り出した。



宮本の提案は、コメント欄を一方通行の掲示板から双方向の会話の場に変える仕組みだった。感謝を伝え、質問を返すことで「もう一言」を引き出す。その繰り返しが「また見たい」を「また話したい」に育てていく。
問題は海外からのコメントだった。英語のコメントが急増していたが、宮本も神谷も英語での返信には自信がない。宮本がAI翻訳を使って簡易な英語の返信テンプレートを作り、翻訳結果を確認しながら実際に返信を打ち始めた。


宮本が神谷に確認しつつも、返信ボタンを押すのは自分の指だ。続けて、SNSのプロフィール欄に旅行会社のサイトへのリンクを設置した。コメントで会話が生まれ、プロフィールを見てくれた人が旅行会社のサイトにたどり着く。「興味を持つ」から「行動する」への入口が、宮本の手でひとまずつながった。
SNS分析指標を3つに絞る
コンテンツカレンダーとコメント返信の仕組みが整ったところで、西園寺がオンラインの画面越しに声をかけた。



西園寺がオンラインの画面越しに分析画面を共有した。数字がいくつも並んでいる。北村がノートPCの画面を覗き込んだ。




【種類】概念図(SNS分析指標の3層漏斗図)。人物は描かない。 【構図】漏斗(ファネル)型の3層図。上段「リーチ(届いたか)」→中段「エンゲージメント(反応したか)」→下段「プロフィールクリック(行動したか)」を上から下に配置。各層の幅が段階的に狭くなる漏斗形状。右側に「ここでも3つに絞る」のラベルを添える。 【補助】上段タイトル「SNS分析指標」、各層にラベルと括弧書きの説明。 【色調】上段=淡いブルー、中段=中間のグリーン、下段=濃いオレンジ。背景は淡いグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
リーチで「届いたか」を測り、エンゲージメントで「反応したか」を測り、プロフィールクリックで「行動したか」を測る。3つの指標は「届く→反応する→動く」の一連の流れに対応している。この流れのどこで人が離れているかがわかれば、次に何を改善すべきかが見えてくる。


北村はエンゲージメントという言葉は使わない。しかし「"いいね"とコメントの合計」という自分の言葉で画面の数字を読み取り、それが何を示しているかを理解し始めている。専門用語を覚えることと、成果を自分の目で判断できることは、別のことだ。
なぜさぬきビートが刺さったのか
運用の仕組みと分析の指標が一通り決まったところで、前川がオンラインの画面から「もう1つだけいいですか」と切り出した。

【種類】概念図(バズ要因分析図)。人物は描かない。 【構図】中央に「音楽 × 動き × 笑顔 = 言語不要のエモーション」を配置。3つの要素をアイコン(音符・足跡・笑顔マーク)で示す。下段に「ペルソナ設計(林田家)→ ファミリー向け撮影 → 子どもの自然な姿 → バズの核」の因果関係を左から右に矢印で結ぶ。上段と下段を「再現可能な要素」「偶然だが捉えられた要素」で区分する。 【補助】上段タイトル「バズ要因分析」、下段キャプション「ペルソナ設計が偶然を捉える準備になった」。 【色調】中央の3要素=暖色系(オレンジ・イエロー・ピンク)。因果関係の矢印=ブルー系。背景は淡いグレー。 【避ける】人物の顔、実在ロゴ、写真風の質感。
なぜさぬきビートが海を越えて広がったのか。前川の問いかけで、全員がバズの要因を振り返る時間になった。



ペルソナの設計は「誰に届けるか」を決める作業だった。林田家のような子育て家庭をプライマリーに据えたからこそ、撮影の場に子どもを迎え入れた。その子どもが踊り出した瞬間は、台本にはなかった偶然だ。しかし偶然を捉えられる場を設計したこと——ファミリー向けの撮影にしたこと——はペルソナから生まれていた。

北村の一言に、部屋が一瞬静まった。北村は分析の専門用語を知らない。しかし「現場の空気を仕組みにする」という言い方で、バズ分析の本質を自分の言葉で掴んでいた。
北村の静かな理解
窓から差し込む光の角度が変わり、午後になっていた。ホワイトボードには、コンテンツカレンダー、コメント返信ルール、分析指標の3つの仕組みがまとめられている。前川と西園寺はオンラインの画面から見守っている。

宮本の声には、バズの興奮ではなく、持続的な運用に踏み出す静かな決意があった。来週の火曜にうどん体験の動画を投稿し、金曜に屋島の風景を届ける。コメントには24時間以内に返信する。やるべきことが明確になれば、不安は消える。
北村がノートPCの分析画面を眺めながら、静かに言った。

北村はSNSの仕組みを理解しているわけではない。しかし画面の数字を見て、自分たちの「やったこと」の痕跡がそこに残っていることを感じ取っている。動画を作り、投稿し、コメントに返信した日々の積み重ねが、数字として残る。
📌 覚えるポイント
- バズを「また見たい」に変えるのは、投稿の内容・タイミング・頻度を計画的に管理するコンテンツカレンダー。頻度は「続けられる上限」から決める。せとうちマーレブルは動画を作れる人手が限られるため、週2回(火・金)に置いた
- 投稿タイミングはペルソナの生活リズムから逆算する。金曜夜は林田家が子どもを寝かしつけた後にスマートフォンを開く時間。そこに旅の動画が流れてきたら「今週末、行ってみようか」になる
- コメントには24時間以内に返し、感謝に質問を1つ添える。返信の速さと質問が会話を続かせ、フォロワー数よりも「次の投稿を楽しみにしてくれる人」が増えていく
- 見る指標はリーチ(届いた数)・エンゲージメント(反応の数)・プロフィールクリック(次の行動への誘導)の3つに絞る。指標が多すぎると判断が鈍る
- バズの核は、台本では出せない本物の空気にあった。さぬきビートの撮影で子どもが自然に踊り出した瞬間が世界中に刺さったのも、ファミリー向けというペルソナ設計があって、その場に居合わせられたからだ
- 再現できる要素(音楽・動き・笑顔)と偶然の要素(子どもが踊り出した瞬間)を切り分けておくと、次のコンテンツづくりに活かせる。ペルソナ設計は、その偶然に立ち会うための準備でもある
📖 覚える用語
- コンテンツカレンダー
- 投稿の内容・タイミング・頻度を計画的に管理する仕組み。曜日ごとにテーマを決め、ペルソナの生活リズムに合わせて投稿時間を設定することで、バズの一過性に頼らない持続的なSNS運用ができる
- リーチ
- 投稿が何人に届いたかを表す指標。同じ人が複数回見ても1人と数える点で、表示された回数の合計であるインプレッションとは別の数字になる。エンゲージメント(反応の数)やプロフィールクリック(次の行動)と並べて「届く→反応する→動く」の順に見ると、どこで人が離れているかがわかる
- エンゲージメント
- SNS投稿に対する反応("いいね"・コメント・シェア等)の総量。投稿がどれだけの人に「届いたか」を測るリーチが「届いた範囲」の指標であるのに対し、エンゲージメントは「届いたあとに起きた反応の数」の指標。ただし総量は届いた人数が多いほど自動的に増えるため、投稿どうしを比べるときは、届いた人数に対する割合(エンゲージメント率=反応数÷リーチ数)で見る
- コンテンツカレンダーの設計
- 週2回(火曜=うどん体験動画、金曜=屋島・フェリーの風景動画)のコンテンツカレンダーを設計しました。投稿時間はペルソナ(林田家)の生活リズムから逆算し、金曜21時に設定しています。来週の火曜から運用を開始します
- コメント対応と海外への導線整備
- コメント返信のルール(24時間以内・感謝+1質問)を宮本さん主導で策定しました。海外コメントにはAI翻訳で英語テンプレートを作成し、返信を開始しています。プロフィール欄に旅行会社のサイトへのリンクも設置しました
- SNS分析指標とバズ要因の整理
- 効果測定の指標をリーチ・エンゲージメント・プロフィールクリックの3つに絞りました。さぬきビートのバズ要因は「音楽×動き×笑顔=言語不要のエモーション」に集約され、ペルソナ設計に基づくファミリー向け撮影が偶然の瞬間を捉えた核だったと分析しています
